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高度プロフェッショナル制度で変わる?従業員の働き方

高度プロフェッショナル制度で変わる?従業員の働き方

高度プロフェッショナル制度で変わる?従業員の働き方


安倍晋三首相が「労働基準法70年の中で歴史的な大改革」と述べ、今国会の最重要法案である働き方改革関連法案が2018年6月29日に成立しました。その背景には、少子高齢化による労働人口減少が深刻化する中、欧米と比較して労働生産性が大幅に低く、残業時間も長いという日本の労働環境の実情があります。



より多くの人にとって効率的で働きやすい労働環境を創出し、国としての成長を促すことが働き方改革の目的です。そのような中、労働時間と賃金を切り離し成果重視の賃金体系にすることによって、柔軟な働き方を促進し生産性の向上を目指す新たな制度が「高度プロフェッショナル制度」です。この制度は労働者が不利となる可能性があり長らく物議をかもしていました。いったいどういうものなのでしょうか。



賛否両論の高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度とは 職務の範囲が明確で一定の年収(※)のある従業員が、高度の専門的知識を必要とする等の業務を行う場合に、所定の要件を満たすことで、労働基準法における労働時間・休日に関する規定や深夜業の割増賃金に関する規定が適用されなくなる制度です。業務に従事した時間と成果の関連性が必ずしも高くない職種に対して、労働時間ではなく成果を賃金の基準とすることで、日本企業における国際競争力の強化を目指します。
※1,075万円以上となる見込み



現行の似た制度として、実際の労働時間ではなくみなし労働時間で管理される「裁量労働制」があります。共通点は、①労働時間が必ずしも成果と結びつかない職務であること、②時間にとらわれない働き方ができること、③実力主義や成果型賃金と結び付けられやすいことの3点があげられます。相違点は、裁量労働制では残業時間がみなし労働時間を超えた場合に残業代や深夜・休日労働の割増賃金の支払いが必要です。高度プロフェッショナル制度ではそれらの割増賃金は完全に支払いの義務がなくなります。

あなたの会社も当てはまる?
高度プロフェッショナル制度が適用される職務・業務

では、具体的にどのような従業員が高度プロフェッショナル制度の対象になるのでしょうか。労働政策審議会での議論では、株式や外国為替といった金融商品の開発、ディーリングやアナリスト、コンサルタント、研究開発職などが想定されています。今後、具体的な職務・業務、年収などの高度プロフェッショナル制度を適用するための要件が厚生労働省令で規定されます。

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高度プロフェッショナル制度適用時のポイント

では、実際に高度プロフェッショナル制度を自社の従業員に適用する場合、企業はどのような対応が必要となるのでしょうか。ポイントとなるのは、評価制度と健康管理です。

◆評価制度の見直し
高度プロフェッショナル制度は正式名称を「特定高度専門業務・成果型労働制」と言い、成果に対する評価と賃金を結びつける運用が考えられます。しかしながら、高度プロフェッショナル制度の対象となる職務・業務の中には、研究開発職といった成果が数値化しづらい、また目に見える成果が出るまでに長期間を要するものも含まれます。そのため、一定の評価期間の中で得られる成果だけではなく、その過程を考慮する等、プロセス評価や多面評価などを併用した評価制度を検討し労使間で納得感のある運用が必要となりそうです。




◆健康管理の強化
高度プロフェッショナル制度では、健康確保の観点から、企業は「健康管理時間」として客観的な方法で対象者の労働時間(事業場の所在時間や事業場外での労働時間)を把握した上で、長時間労働を防止するための措置を講ずることとされています。さらに、対象者の健康管理時間が一定時間を超えた場合は医師による面接指導を実施することが義務付けられており、違反した場合は罰則の対象となります。

また、4週4日以上年間104日以上の休日を確保することが義務付けられている等、今後は規定に応じてより厳密な勤怠管理が求められることが予想されます。

このように、高度プロフェッショナル制度の運用には多様な評価制度の導入や法改正に応じた詳細な勤怠管理が求められることが予想されます。また、制度の適用には職務の明確化や労使委員会での決議等の法的な要件を満たすことが必要です。そのため、高度プロフェッショナル制度を自社の人事制度に取り入れる企業では多角的な準備が必要となりそうです。



掲載日

2018年7月5日(木)

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