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【講演レポート】産官学に聞く、「働く」のビッグデータを活かした経営課題の解決

掲載日

2018年5月24日(木)

産官学に聞く、「働く」のビッグデータを活かした経営課題の解決
日本企業に向ける、Workforceディスカッション



2017年11月22日(水)に開催した「COMPANY Forum 2017」での経済産業省 産業人材政策室 参事官 伊藤禎則氏明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田稔氏プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長 モティファイ株式会社 取締役/チーフ・サイエンティスト ピョートル・フェリークス・グジバチ氏株式会社ワークスアプリケーションズ Vice President ウィー チーションの講演内容をダイジェストでお届けします。





テクノロジーを駆使して、働く一人ひとりの力と喜びを開放せよ


経済産業省
産業人材政策室 参事官
伊藤禎則氏

政府による働き方改革の第1章は「長時間労働への規制強化」だった。第2章は「生産性向上による経済成長」だ。今の日本は、大きな2つの波にさらわれている。1つは人生100年時代という考え方、そしてもう1つは第四次産業革命である。働き方改革では何を改革すべきか。それは日本的雇用システムそのものだと伊藤氏は指摘する。
伊藤氏によると、働き方改革の本質は3つあるという。1つ目は何時間働いたか、何年会社にいるかではなく、「成果」と「生産性」によって評価すること。2つ目は、「時間」や「場所」を選ばずに、働く側のニーズに応じた多様な働き方を実現すること。そして最も重要な3つ目は、働く側が自分の持ち札を増やすプロフェッショナル化の促進だ。そういう意味では、働く側もまさにリカレント教育、生涯学習を続けていく必要がある、と伊藤氏は警鐘を鳴らす。
今や日本企業の競争力の源泉は人材で、“人財”という資産のROAを高める必要がある。昨今台頭し始めた「AI 」や「ビッグデータ」等のテクノロジーは、ROAを高めてくれるかもしれないという期待が高まっている。
「経営にテクノロジーを駆使することで、働く一人ひとりの力と喜びを開放して、従業員一人ひとりが創造的な仕事をし、企業は成長する。そういったプロセスによって日本経済はますます成長すると私は確信している」と伊藤氏は締めくくった。



“Are you ready to get fired?(クビになる準備はできたか)”
―日本の働き方がはっきりいってダメな理由

プロノイア・グループ株式会社
代表取締役社長
モティファイ株式会社
取締役 チーフ・サイエンティスト
ピョートル・フェリークス・グジバチ氏

今後世界ではさらにダイバーシティが進んでいく。ダイバーシティが進まない企業は生き残れない。アウトソーシングできる仕事はどんどん機械に代替される。スピーチの冒頭、ピョートル氏は“Are you ready to get fired?”と挑発的な言葉を投げかけ、こう続けた。
「日本の働き方は、はっきりいってダメ。」いまだにクローズドの組織、トップダウンの意思決定がまかり通り、そうしたピラミッド型構造の下のほう(現場)はもはやお墓同然であって、現場は死んでいるという。残念なことに、日本の従業員エンゲージメントランクは世界で最も低く、生産性もG7の中で最下位だ。
「日本の生産性は、なんとノルウェー人の半分。イタリア人やスペイン人は、ナンパをしまくって ワインを飲みながらランチをしているイメージがあるかもしれないが、日本人よりも生産性は高い。バルバドスという国を、皆さんはご存知だろうか。カリブ海に位置する島国だが、そこにすら日本は劣るのだ。」
ピョートル氏は最後に、生産性向上に関わる2つのキーワードを紹介した。まず「心理的安全性」だ。従業員は社内からネガティブなプレッシャーを受けることなく、自分らしく働ける環境が必要だという。次に「ラーニングアジリティ」を挙げ、成長志向で難度が高く学びの多い仕事を好む姿勢が求められると説いた。
「自分たちの仕事の目的は何なのかということを考えずに仕事をするのはダメ。成長しないというのもダメ。自由がないのもダメなのだ。」



心身ともに余裕があってこそ、創造的な仕事ができる

明治大学大学院
グローバル・ビジネス研究科 教授
野田稔氏

日本は少子高齢化によって、人口が急速に減少してきており、将来は現在の3分の1になる見込みだ。これは、数十年後には現実になる。我々はこれから徹底的な生産性の向上に取り組まなければならない。
ワークス研究所での野田氏の生産性向上に関する研究結果によれば、注力すべき3つの領域が導き出されたという。①ダイバーシティ&インクルージョンの向上②人材のプロフェッショナル化③ジョブアサインメントの効率化だ。
近年、若者の指向性が変わってきている、と野田氏は続ける。学生にどんな組織で働きたいかを聞くと、まず安定した安心できる会社と答える。その次に働きやすい環境整備を求めているという。
「正直、昭和の私からすれば腹が立つ。しかし、冷静に考えてみると彼らのほうが自分の付加価値をはるかに理解しているのではないかと感じ始めた。健康的で余裕があってこそ創造的な仕事ができると、私たちおじさんよりもむしろ若者が知っているのかもしれない。」
また、いかに成果の出る環境であるか否かを測るには、コミュニケーションとヘルス分野が極めて重要な指標であり、納得性の高い想定が返ってくるだろうと付け加えた。



HR Techのその先へ、ビッグデータを立体的にとらえる“Workforce Tech”の活用

“HR Tech”―最近よく耳にする言葉ではないだろうか。Googleで検索すると、“ビッグデータやAI等、最先端のIT技術を使って人事管理業務を行う手法”とある。
では、ワークスが提唱する“Workforce Tech”とはどのようなものなのか。右記の図において、青色の部分が業務に関するあらゆるビッグデータである。このデータは見る位置によって見え方が変わる。
例えば、人事部側として横から見れば三角に見え、経営層/マネジメント層側として俯瞰した位置から見れば円錐に見える。また従業員側である下から見れば丸に見える。このように業務データを平面的ではなく立体的にとらえることで、人事部だけでなく経営層、ひいては従業員一人ひとりの働き方改革に貢献できるテクノロジーになる。それが“Workforce Tech”だ。

株式会社ワークスアプリケーションズ
Vice President
ウィー チーション

ビッグデータを有効活用するために重要な2つのポイントは、データの多様性と量だ。データの多様性は、現在ワークスが取り組む課題の一つで、業務データにヘルスデータをひもづけることで、心身ともに健康的かつ生産性高く働くための支援を進めている。
まず、ウェアラブルデバイスを使い、脈拍等のバイタルデータを取得する。取得したデータはストレス度や集中度を表す形式に加工され、取得者自身のスマートフォン上でグラフィカルに確認できるのはもちろん、PC上でより詳細な情報を確認することも可能である。
例えば、業務中の集中度を時間や日にちごとにチェックしたり、スケジュールと連携して業務単位でストレス度の推移を見ることもできる。当然、これらは非常にセキュアな情報であるため、チーム員や上司に見せるのかといった公開範囲は取得者自身で選択することが可能だ。アプリケーションの設計上、自らが意図しない形で公開されることはない。一方で、個人が特定されない状態で、部門やチームごとに数値比較を行うことも可能だ。



ビッグデータの精密さと、しなやかな人間の考える力の掛け合わせがTech活用のポイント

パネルディスカッションの締めくくりに、野田氏は「実際にはビッグデータを集めてもどう活用してよいかわからず、失敗する例が少なからず出てきている」とコメントした。データ解析はすべてをテクノロジー任せにするのではなく、最終判断はやはり人間がやるべきである。人間とテクノロジーが得意な分野で力を発揮し合って、効率化し精度を高めていくという使い方が正しいのではないか。
「これからの日本人は、少ない人口でもAIを活用してクリエイティブな仕事を効率的に行えるようになればよいと思う」と野田氏は期待を寄せた。



ワークスが主催する「COMPANY Forum」は、その年のトレンドに合わせた有識者や企業の方々に登壇していただくビジネスフォーラム。国を挙げて“働き方改革”が叫ばれた2017年は、Workforce Innovationをテーマにし、人工知能(AI)をはじめとする最先端技術・ビッグデータの活用等、多彩なセッションを開催しました。






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