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中国ビジネス最前線 第1回

中国ビジネス最前線 第1回
なぜ中国の大学教育がアツいのか、優秀な人材を輩出する理由とは?

中国ビジネス最前線 第1回
なぜ中国の大学教育がアツいのか、優秀な人材を輩出する理由とは?




世界的に台頭する中国の大学―その裏にある国家戦略


イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」による世界大学ランキング2018年版では東京大学が46位だが、中国の北京大学が26位、清華大学が30位とここ数年来上回っている。もちろん「THE」の評価が絶対的なものではないが、一番納得性があり支持者が多いと聞く。中国の大学が急激に伸びた理由は国家政策「211プロジェクト」「985プロジェクト」の設定にあると考える。

「211プロジェクト」は1995年の科教興国戦略に基づき、116重点大学と1,000重点学科を指定し559億元(約9,500億円)を投じられた。また、985プロジェクトは1998年に北京大学創立100周年記念に際し、江沢民国家主席(当時)により、世界一流大学に伍する大学建設が必要だとして、211プロジェクトからさらに39大学が選出され、1,119億元(約1兆9千億円)もの金額が投じられた。北京/清華両大学はこれら2つのプロジェクトからの潤沢な資金をもとに、世界中から一流学者/研究者を招聘し、研究機関の充実に努め、高考(ガオカオ:中国の大学入学共通センター試験)で選考された多くの人材を育て輩出するようになった。





潤沢な資金力に加え、白熱する大学間競争


高考の各省の成績トップを状元(じょうげん)と呼ぶ。正式な呼称ではないが科挙制度からの転用で、毎年中国全土で約1千万人受験し、例えば広東省では75万人受験し、その一番がこのように呼ばれるので大変名誉なことである。実はこの状元をめぐって北京大学、清華大学、香港大学のトップ大学どうしが熾烈なリクルーティング活動で火花を散らしている。各大学の教師たちが各省にリクルーターとしてアサインされ、高考の成績発表直後から状元、榜眼(2位)、探花(3位)の家に出向き勧誘するのだ。

学生には大学を選ぶ権利があるので、入学後の生活・学習環境や奨学金などの待遇を条件に学生の家族まで巻き込んでまさにスカウト合戦が繰り広げられるのだ。このように優秀学生を獲得するところから大学間の競争が始まっており、単に資金の潤沢さでランキングが上がっているのではないことを付け加えたい。




研究内容や成果は?―AI特許出願数からみる中国の大学レベル


さて大学の研究レベルをどう見たらよいのか。弊社はAI(人工知能)の製品を開発しているので日米中3国のAI特許出願数を比べてみたい。幸い、昨年日本経済新聞社の記事(※)に下図が掲載されたので一目瞭然である。

出願数において日本はNTT、NEC、日立、米国はIBM、マイクロソフト、グーグルとIT先端企業がトップ3を占めているのに対し、中国は中国国家電網公司、北京大学、南京大学と二つは大学である。あくまでも特許の出願件数でしかないため内容のレベルの高低までは言及できないが、少なくともAIを研究開発し成果を積極的に特許化しようとするエネルギーは評価に値する。これも各大学間での競争意識が高く、ライバルは米国の企業であり大学である。つい先日北京大学の工学部でロボット研究の話をしてくれた教授は米国で博士号を取得し北京大学に戻ったが、まだ40歳前にもかかわらず研究所長であった。このような若き天才たちに環境、資金、人材が与えられているので日本の大学も比べられると色あせて見えてしまうのではないだろうか。




エリートの未来―優秀な中国人エンジニアの人材市場価値


「211プロジェクト」と「985プロジェクト」指定の大学のコンピュータサイエンス学部もしくは大学院修了生はグーグルなど世界の先端企業や中国のBAT(百度、アリババ、テンセント) からも引っ張りだこで、日本企業による採用の難度はかなり高い。しかし我が社の採用担当の説得、先輩社員からの高い評判もあり多くのエンジニアを採用できている。当然ながら彼らの優秀さは日本の一流大学を卒業した社員に勝るとも劣らない。各大学の研究室がAIの基礎研究、実装化に国家的命運をかけ、そこで徹底的に鍛え上げられているからだ。一例だが、Excelのような操作性を有し、さらにデータベースと連動して業務情報の抽出や加工の手間を大幅削減したESS(Enterprise Spreadsheet)などを開発したのも中国人エンジニアチームであり、今や彼らは我が社の人工知能型ビジネスアプリケーション「HUE」の主力開発者であり、随所に彼らの工夫やアイデアが組み込まれている。これらの中国人エンジニア抜きではこの製品は日の目を見なかったといっても過言ではない。






ワークスアプリケーションズ中国 董事長

北京大学特別招聘教授

上海外国語大学特別招聘教授

一般社団法人コンピュータソフトウェア 協会国際担当理事

五十木 正(Tadashi IKARUGI)

ワークスアプリケーションズ中国 董事長

北京大学特別招聘教授

上海外国語大学特別招聘教授

一般社団法人コンピュータソフトウェア 協会

国際担当理事

五十木 正(Tadashi IKARUGI)









掲載日

2018年2月27日(火)

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