人事システム選定のポイント|業務洗い出しから業務の見直し、パッケージ選定までの手順を徹底解説

人事システムに限らず、パッケージの導入は以下の手順で行うのが一般的です。

  1. 導入の目的を明確にする
  2. 現行業務を洗い出す
  3. 業務を見直す
  4. 最も適合するシステムを選ぶ

 これらを見落とすことがシステム導入の失敗につながることは、以前詳しく記しました。

 

▶おすすめ記事失敗しないシステム導入.png

 今回は人事・給与システムやタレントマネジメントシステムのような人事システムを選定するときに、どのような対策をとるべきかを考えてみましょう。

人事業務のうち、どの業務をシステム化するのかを決める

人事業務の全体像を可視化する

まずは、対象業務の洗い出しを行います。業務の洗い出しを行うときは、最初から細部にとらわれずに、大きな分類を外さないようにすることが大事です。

例えば、人事関連業務は、大きく以下のように分類することができます。

採用管理
人事情報管理
組織・発令管理
評価管理
人材開発
人員配置
給与計算
賞与計算
退職金計算
税・社会保険
勤怠管理

システム化する人事業務に優先順位をつける

これらのうち、どの領域をシステム化するのかによって、選定すべきシステムが大きく変わってきます。非常に優先順位の高い機能なのに、見逃していたなどということがないように、システム化したい業務は明確にしましょう。

ただ業務を洗い出すのみならず、それらの業務の中でシステム化する業務の優先順位をつけておく必要があります。この優先順位は、システム検討のさまざまな場面で活用します。

例えば評価管理と給与計算とでは、ベンダーにも得意・不得意があります。給与計算のほうが優先順位が高ければ、給与計算が得意なベンダーを選定するという判断ができるでしょう。

あるいは、できれば幅広い業務をシステム化したいけれども、費用はその分かかるため、そのための予算が確保できるか分からないというケースもあるでしょう。例えば今回は給与計算がきちんと正確にまわることが最優先事項なので、研修管理システムは予算の都合上諦める、という判断もできるかもしれません。

  優先度
評価管理
給与計算
賞与計算

 

抜け漏れが発生しないように、業務を洗い出す

大きな業務のかたまりが洗い出せたら、その大きな業務のかたまりをより細かくしていくことで、業務一覧を作成していきます。

ここでも重要なのは、いかに細かな抜け漏れをなくすのかという点です。

抜け漏れを防ぐためには、いくつかのやり方があります。しかし、漠然とブレインストーミングすることだけは避けるべきでしょう。ブレインストーミングはアイデア出しには最適ですが、抜け漏れなく、体系的に業務を洗い出すことには不向きだからです。

その代わりに、以下の方法を検討してみましょう。

参考資料を活用する

 既存システムの分析にあたっては、参考資料を活用しましょう。

 

参考資料の代表的なものには、以下のようなものがあります。

  • 現行システムの仕様書・メニュー一覧
  • 現行システムのカスタマイズ・アドオン一覧
  • 利用している帳票集
  • 過去に作成した業務マニュアル・業務フロー資料
  • 業務上利用しているチェックリスト

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該当する資料があれば、そちらを転用し、業務一覧の形式にしていきます。

 

業務一覧イメージ.png

さまざまな切り口から業務を分析する

抜け漏れをなくすためには、さまざまな切り口から業務を分析してみることが重要です。

例えば、「だれ」がその業務を行っているのかを考えてみるのも一つの手です。例えば、毎年4月に人事部が作成する「新入社員一覧」という資料があったとします。この資料は、誰が見るのでしょうか?この新入社員一覧をもとに、情報システム部が各種IDを発行しているかもしれません。総務部は入館証などの手配を行っています。このように、「だれ」がその業務を行っているのかを考えてみることで、業務の抜け漏れをなくす一助とすることができます。

また、「いつ」その業務を行っているのかを考えてみるのも良いでしょう。日常的に行っている業務に抜け漏れはなくとも、人件費予算の策定など、年に一度しか行っていないような業務では、抜け漏れがあるかもしれません。

他にも、5W1Hにしたがって洗い出した業務を見返してみることで、業務一覧から致命的な抜け漏れをなくすことができるでしょう。

人事業務を見直す

ここまでのプロセスを経ることで、今やっている業務の一覧表は高い精度でできていると考えられます。しかし、せっかくのシステム入替ですので、業務そのものを改善しないと、投資対効果を最大化しているとはいえないでしょう。

以下のような切り口で、今やっている業務そのものを改善できないか、検討してみましょう。

制度を見直す

あまりにも複雑な給与制度があった場合、いくら業務フローを効率化しても、効率化できる業務量には限界があります。

あまりにも複雑な計算業務を引き起こしている給与規定があった場合、その制度を見直すことを検討すべきです。確かに、給与規定を変えるのは一朝一夕で行えるような簡単な話ではありません。特に給与関係の制度変更は、労働組合との合意などが必要なこともあります。

しかし、中には数十円、数百円の手当を正確に計算するために、非常に大きなコストをかけて作りこみをしているケースがあります。そのような手当制度はやめてしまって、一律千円支給するという制度にしたほうが、全体でみるとコストとしては安価に済んでしまうかもしれません。

 業務のやりかたを変える

業務のフローを変えることで効率化を図ることができます。

着目すべきは、どういった業務に手戻りが発生しているかという点です。

業務に手戻りはつきものです。手戻りの幅を最小限に収めることが、重要であるといえるでしょう。

例えば昇格昇給のプロセスは、人事業務において手戻りが非常に発生しやすい業務の一つです。

評価の結果を受けて、昇格対象者を判定、昇給の計算を行い、昇給額を決定、その金額を確認し明細書を作成するという一連の業務ですが、例えば評価結果に誤りがあった場合、一から昇格昇給はやりなおしです。

業務をなくす

そもそもなくすことができる業務がないかを検討してみましょう。

「自社には不要な業務などない」と思われるかもしれません。しかし、私たちが人事システム・会計システムを導入する中で、数多くなくしてきた業務があります。それは、帳票作成業務です。

帳票の要否を検討することで、

  • 毎月作成しているけれども意思決定にはあまり利用されていない帳票
  • フォーマットが複数種類あるけれどもその中身は大差がない帳票
  • 前任者の部長のリクエストで作ったけれども現任の部長は見ていない帳票

などが発見できます。

帳票の洗い出しとその要否を検討することは業務整理に絶大な効果を発揮するのみならず、帳票を外部開発する必要性をなくすことでコストダウンにもつなげることができます。

最も適合する人事システムを選ぶ

システムの選び方・評価の仕方はいくつかあります。

以下のような手段を活用しながら、比較・選定を進めていきます。

機能要件表を利用する

作成した業務一覧表に対する適合率を算出することで、その製品が自社の業務にどれだけフィットするのかを把握することができます。

 このとき重要なのは、業務の洗い出しをした際の「大きなかたまり」ごとに適合率を見るということです。

 

適合率 優先度 製品A 製品B
評価管理 B 70% 70%
給与計算 A 60% 80%
賞与計算 C  80% 30%

平均

 ー  70% 60%

 

この場合、要件全体で評価すると、製品Aの方が適合率は高く、自社の業務への一見フィット率が高そうに見えます。

しかし、本来の優先度から鑑みると、製品Bの評価を高くすべきといえます。なぜなら、賞与計算は優先度C、すなわち「あればうれしい」程度の機能であり、製品Bの方が「本当に必要な要件」を満たしているからです。

デモンストレーションを依頼する

ユーザーインターフェイスや操作性を確認します。

特に入力画面などの従業員が日々使うと考えられる画面のほかに、検索機能・集計機能などもあわせて確認しておくことで、簡単に情報を引き出せるかが分かるでしょう。

 

システムの直感的な操作は業務効率をあげるために、非常に重要な点です。そのために、システムがどれだけ柔軟かも、あわせて確認しておきましょう。入力項目の表示場所や並び順を自由に変えられなければ、自社に本当に適合した入力画面を構築できません。しかし、自社に適合した入力画面でなければ、不要な項目が並んでいたり、入力ミスが頻発したりと、多くの不都合を生じることになるでしょう。

非機能要件表(拡張性・教育訓練・品質性能要件など)を利用する

非機能要件のなかでも、セキュリティ要件は重点的に確認しましょう。

人事給与システムで管理される社員情報は、大切な個人情報です。個人の名前や性別、生年月日、家族情報、マイナンバー、給与情報などは、非常にセキュアな環境で保存されるべきであるといえるでしょう。細かく柔軟に権限設定ができるか、確認しておきましょう。

 

人事システムから外部システムへのデータ連携も重要なポイントです。

会計システム、ID管理システムなどの外部システムとの連携ができるか、も確認しておきましょう。その際は、それらの外部システムに詳しい情報システム部門の方をアサインし、データ連携の方法はきちんと想定されているか、確認しましょう。

コストを比較する

異なる領域でソリューションを展開しているベンダー同士を、同じ土俵で価格比較することは非常に困難です。機能の範囲も異なる、システム導入後に発生する機能追加や改修にかかる費用、法改正にともなう対応費用、導入にかかる追加費用、インフラ関連費用など、非常に多くの費目が考えられます。

安価なソリューションを選定し、おトクな買い物ができたと思っていたら、実は導入後の追加費用がどんどんかかってしまい、総額では非常に高額な費用がかかってしまったなどということのないように、選定段階で、きちんと費目をそろえることが重要だといえるでしょう。

さいごに

人事業務の複雑化にともない、人事システムの機能も多岐にわたります。

どこから手をつければいいのか分からない、業務の洗い出しに苦労しているといったご相談があれば、ぜひお問い合わせください。

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