法改正とシステム改修ーユーザーの声を届ける行政へのアプローチ

政府は2021年度を目標に、企業による税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討を行っていると報じられています。(2018/7/3付 日本経済新聞「企業の税・保険料、書類不要に 起業も後押し 」)。

この検討は、「官民双方の事務負担を減らして生産性を高める」ことを目的に、従来の書類作成・提出に代わる方法として「企業は給与情報等をクラウドにあげ、行政がそのデータにアクセスして手続きを進める形に変える」というものです。

書類の作成・提出がなくなることへの期待、政府から“クラウド活用”という提案が出てきたことへの驚き、本当に実現できるのかという疑い、行政がデータにアクセスすることへの不安――様々な意見があるかと思います。特に、「2021年度の実現を目標とする」というスピード感の速さに驚かれた方は多かったのではないでしょうか。

弊社では、企業のバックオフィス業務の効率化、生産性向上に最大限貢献すべく、関係機関に対して、様々な形で直接提言を行っています。政府・行政がどのような将来像を描いているのか。弊社の活動から得られた最新情報をご紹介します。

弊社の行政への働きかけについて

弊社はユーザー会員組織「ユーザーコミッティ」とともに、企業の行政手続コストを低減するため、関係機関への働きかけを継続的に実施しています。

その一例が、こちらです。

  • 就労証明書の標準的様式
  • 特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)へのマイナンバー記載廃止
  • 年末調整の完全電子化

例えば、就労証明書。これは、親が子どもを認可保育所に入所させる際に必要な書類の一つで、市区町村に提出します。企業の人事担当者が従業員の勤務時間や就労形態、給与支給額等の項目を記入・捺印して発行するのですが、就労証明書のフォーマットが各市区町村で異なっているためにシステム化に適さず、人事部門が手書きで書類作成を行っており、業務上大きな負担となっています。

実際、企業は就労証明書の作成業務にどれだけの時間を費やしているか――2016年に弊社がユーザーコミッティ会員企業のうち約240社に対して実態調査を行ったところ、なんと平均で年間88時間以上にのぼることが判明しました。

こうした実態を受け、企業が抱える業務課題を解決すべく、弊社では関係機関に対して就労証明書のフォーマットを統一する提案活動を実施しました。こうした活動が実を結び、2017年8月、厚生労働省と内閣府より、就労証明書の標準的様式が示されました。しかし、標準的様式の採用は市区町村の判断に任されているため、実際に採用している市区町村は全体の50%程度です。弊社では引き続き、標準的様式を全国に普及推進させるべく、ユーザーコミッティとともに活動を行っております。

《参考:ユーザーの声をかたちに。ワークスの働きかけで就労証明書の標準的様式が実現

行政機関が抱く問題意識と、「参照型社会」の実現

「企業による税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討」についても、弊社では関係機関との意見交換会を実施しています。

行政は現状に対して、2つの問題意識を持っています。

1つは、企業が各行政機関に対して同じような情報を何度も提出していること。企業は、従業員の採用や退職などライフイベントごとに様々な書類をハローワークや年金事務所、健康保険組合、税務署、市区町村にそれぞれ提出しています。しかし、大部分の情報は共通しているため、企業からすれば「同じ情報を何度も提出させられている」状態であり、ここに大きな無駄が発生しています。

もう1つの問題意識は、行政手続きにおいて複数存在する電子申請プラットフォームです。社会保険はe-Gov(イーガブ、電子政府の総合窓口、管轄:総務省)、国税はe-Tax(イータックス、国税電子申告・納税システム、管轄:国税庁)、地方税はeLTAX(エルタックス、地方税ポータルシステム、管轄:地方公共団体)と、手続きにより利用するシステムが分かれています。同時に、電子化されていない手続きや電子化に対応していない機関もいまだに存在します。

企業にとっては、それぞれが提供するプラットフォームに対応しなければならないため、大きなコストが発生しています。一方で、行政全体で捉えても、似たような機能を持つプラットフォームを維持・改修するコストがかかるため、企業・行政双方に大きな無駄が発生していると言えます。

 

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このような無駄を解消すべく、行政は次のような2段階の青写真を描いています。

第1段階が「オンライン・ワンストップ化」です。これは、e-Gov、e-Tax、eLTAXと複数存在する電子申請プラットフォームを、マイナポータル(マイナンバー総合サイト、管轄:内閣府)に一元化する構想です。企業はマイナポータルに対して電子申請を行うだけで、個別の行政機関への申請はマイナポータルが振り分けてくれます。これにより、企業は複数のプラットフォームへ何度も申請手続きをする必要がなくなり、また行政も、プラットフォームの一元化を図れることでシステムの維持・改修にかかるトータルコストを低減することができます。

そして、マイナポータルによるワンストップ化が実現した後、第2段階として構想されているのが「参照型社会」です。企業がクラウド上に保管したデータを、行政機関が必要なタイミングで参照することで、申請手続き自体をなくすことを目指しています。すでに政府と業界団体との意見交換が始まっており、様々な主張・議論が交わされています。


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ワークスアプリケーションズでは、今後もユーザーコミッティとともに、企業の生産性を最も高められる行政手続きの実現にむけて、活動してまいります。

《参考:第3回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会 第24回各府省情報化専任審議官等連絡会議 合同会議(平成30年10月19日)


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