法改正とシステム改修ー「無償バージョンアップ」の内実を紐解く

企業システムを取り巻く環境は、時代の流れとともに変化します。

税法改正や社内制度の改定、業務の変更、M&Aへの対応はもちろん、テクノロジーやトレンドといった多岐にわたる変化への対応が企業システムには求められます。これらの変化に対して、日本企業は既存システムにカスタマイズ等の個別開発を行うなど「変化」のたびに追加コストを支払い、さらにはセキュリティリスクを負わなければなりませんでした。これは、日本企業のIT活用による効率化を実現するためには、解決が最も急がれる課題の一つでした。

この課題を解決するために、弊社製品は、これらの「変化」への対応を無償にしました。メーカーとしての責任を持ってその必要性を判断し、変化に対応するための製品自体のバージョンアップを定額の保守料のみで続けていくため、お客様がコストをかけてカスタマイズをする必要はありません。

一般的なERPパッケージ製品におけるバージョンアップが、障害や不具合に対応するアップデート版の提供であるのに対し、弊社の「無償バージョンアップ」は障害対応や不具合修正はもちろんのこと、お客様の業務改善を支える新たな業務機能を絶えずバージョンアップし続けています。これにより、お客様は法改正やテクノロジーの変化への対応に貴重な時間やコストを費やすことなく、常に最新の製品をご利用いただけます。

(製品コンセプトの詳細はこちらから)

本記事では、ワークスアプリケーションズが無償バージョンアップによって提供してきたメリットをご紹介するとともに、過去の法改正対応における道のりやその内実を、開発者の声を交えながらご説明したいと思います。

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HR Div. マネジャー
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2009年入社。以来、「COMPANY」HRシリーズの社会保険・年末調整・企業年金等、法定業務系サブシステムの開発に携わる。2015年にはマイナンバー新サービスを立ち上げた後、2016年からは再び、HRシリーズの法定業務系サブシステムの開発に従事。2018年7月より現職。

 

 

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HR Div. マネジャー
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2009年入社。以来、「COMPANY」HRシリーズの社会保険・年末調整・企業年金等、法定業務系サブシステムの開発に携わる。2015年にはマイナンバー新サービスを立ち上げた後、2016年からは再び、HRシリーズの法定業務系サブシステムの開発に従事。2018年7月より現職。

1,473億円のシステム改修費用を削減

弊社は、企業の基幹業務におけるIT投資コスト削減を目的に、「無償バージョンアップ」モデルを構築しました。システム改修に起因する追加費用の発生を極小化させることで、長期的なITコスト削減・見える化が実現します。このビジネスモデルは、特に法改正対応において、大きな効果を発揮します。業務システムにおける法改正対応は、多くの場合、すべての企業が対象であるにも関わらず、施行直前まで改正内容の詳細が決まらない。そのため、開発からリリースまでのリードタイムが短くなり、その分システム改修の難度が上がる。すなわち、改修費用は積み上がる一方です。それでも弊社では、法改正対応はユーザー企業に対して大きく貢献できる領域の一つとして、力を入れて取り組んでいます。

弊社が人事・給与領域において、直近3年間でリリースした法改正対応機能数は103件におよびます。無償バージョンアップモデルは、法改正に起因して発生したであろう「システム改修費用 約1,473億円分の削減」に貢献したと試算できます*。これから本格的・継続的な対応が必要となる働き方改革関連法、消費増税・軽減税率導入、平成30年度税制改正においては、改正予定事項等からシステム改修規模を想定した場合、それらも含めるとコスト削減効果の累計額は1,500億円から1,600億円程度と算出することができます。

*業務システムへの影響度が大きい法改正に対して、施行年度の対象領域におけるユーザー企業数と、各ユーザー企業で対応した場合にかかるであろうシステム改修費用を掛け合わせ、金額の累積値として算出(期間:1997年~2018年、対象領域:HR/AC/EC/マイナンバー)

参考:近年発生した影響度が大きい法改正

2013-2015 マイナンバー
2016 短時間労働者への社会保険適用拡大
2017 新元号対応
2018 所得税:配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
2018 健康保険・厚生年金保険の届出様式変更

 

 

法改正・システム改修事例1:マイナンバー(2015)

近年の影響度が大きな法改正として、必ず挙げられるのがマイナンバー対応です。2013年5月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、番号法)が発表された当初、これほどまでインパクトを及ぼす法改正になると想定していた方は少なかったのではないでしょうか。しかし、マイナンバーの不正な提供や取得にはその行為者のみならず、行為者が所属する組織(民間企業等)に対しても厳しい罰則が適用されるなど、番号法による影響度の大きさが徐々に明らかになりました。また、2014年末には「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」が公表されましたが、保管手段等の明確な提示はなく、民間企業等でマイナンバー対応はほとんど進められていない状態でした。

法改正に関する発表以降、弊社では、全社的な対応方針を策定・対応するため、人事・会計の各製品開発者を中心としたプロジェクトチームを発足。社内で様々な議論を重ねた結果、この法改正に対応するマイナンバー管理プラットフォームとして「My Number Keeping System」(以下、MKS)および「My Number Operation Service」(以下、MOS)をクラウドサービスにて無償で公開することを決定。2015年より無償提供を開始しました。それにあわせて、ユーザー企業が法改正にスムーズに対応できるよう、マニュアル等のドキュメント整備や製品・法改正への対応方針に関わる説明会、法改正後の運用における注意点やユーザー企業同士が対応方針を共有・相談できる分科会等を全国幾度となく実施しました。

番号法施行後の2016年には、弊社のユーザー会である「ユーザーコミッティ」の会員法人を対象に「マイナンバー対応実態調査」[調査期間:2016年1月20日~2月10日]を実施。この結果、62%のお客様は100万円以下でマイナンバー法改正への初期対応を行うことができたと回答しており、「COMPANY」および無償のMKS/MOSを効果的にご利用いただいたと推察できます。一方で、システム対応費用に加え、コンサルティングサービス費用やアウトソーシング費用をあわせると、法改正対応に総額 5,000万円以上のコストが発生したと回答したユーザー企業も、少数ながらいたことが判明しました。

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番号法の制定当初は、弊社でも「COMPANY」に項目を1つ追加する程度の対応になるのではないかと捉えていました。 しかし、番号法に関する情報収集を進めれば進めるほど、マイナンバー管理に求められる安全管理措置(通信・データの暗号化/ユーザーの認証/リクエストの認証/IDによる個人番号データの識別)を満たし、かつユーザー企業における管理負荷を低減するには、そもそも「COMPANY」とデータベースを分けて設計した方がよいとの判断に至りました。

企業内で個人番号を保管する必要がないMKSとMOSを無償でリリースしたことにより、システム面においては、各社での対応負荷とコストをかなり抑えることができたと捉えています。マイナンバーについては初期に比べるとだいぶ落ち着きつつあるものの、近年でも関連した改正対応が必要になることも多いため、ユーザー企業に最大限貢献する対応ができるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

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番号法の制定当初は、弊社でも「COMPANY」に項目を1つ追加する程度の対応になるのではないかと捉えていました。 しかし、番号法に関する情報収集を進めれば進めるほど、マイナンバー管理に求められる安全管理措置(通信・データの暗号化/ユーザーの認証/リクエストの認証/IDによる個人番号データの識別)を満たし、かつユーザー企業における管理負荷を低減するには、そもそも「COMPANY」とデータベースを分けて設計した方がよいとの判断に至りました。

企業内で個人番号を保管する必要がないMKSとMOSを無償でリリースしたことにより、システム面においては、各社での対応負荷とコストをかなり抑えることができたと捉えています。マイナンバーについては初期に比べるとだいぶ落ち着きつつあるものの、近年でも関連した改正対応が必要になることも多いため、ユーザー企業に最大限貢献する対応ができるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

 

 

 

法改正・システム改修事例2:新元号対応(2017)

2016年に天皇陛下が生前退位の意向を示されて以降、政府より退位時期や新元号の公表・変更タイミングに関して発表されてきました。ついに、2019年の年頭記者会見で安倍晋三首相より、新しい元号の公表は4月1日に行う旨が発表されました。

まさに改元日となる5月1日の1か月前――新元号公表後にシステム改修に着手するのでは間に合わないことは明らかです。
弊社では以前より、新元号の公表直後からOS等の外的要因にも左右されずスムーズに対応を進められるよう、人事・会計製品ともに影響のある機能や帳票の調査や開発方針の策定といった準備に着手していました。特に会計製品については、OS情報から元号を取得している一部機能や、金融機関によっては旧元号でないと受理されない可能性のあるFBデータなど、外部システムと連携するデータについても調査分析し、入念に対応方針を検討しました。

その結果、元号を動的に取得できるよう対応したバージョンアップしたプログラムを開発し、公表に先立ってリリースする方針を固めました。そして、2017年10月には弊社製品のバージョンアップを実施。このバージョンアップにより、新元号の公表後には簡易的なプログラムを適用するだけという、短期間で対応を完了させることが可能になります。これにより、ユーザー企業においては、改元前にでも、和暦日付を使用する画面において新元号を表示できるようになる予定です。

法改正・システム改修事例3:健康保険・厚生年金保険の届出様式変更(2018)

2018年1月31日、厚生労働省は「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令」を公布し、年金関係の各種届書等に個人番号を記載する欄を設けるなど、個人番号利用に伴う関係省令を改正しました。施行期日は公布から約2か月の3月5日とされ、各企業においては本法改正に対応するシステム改修が急務となっていました。

弊社でも、公布後すぐに法改正による影響度の調査、開発方針の策定、更新プログラムの開発に着手しました。

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「エラーデータが解消されない・・・。」 実は、健康保険・厚生年金保険の届出様式変更への対応にあたり、当初設計していた更新プログラムでは、日本年金機構の「仕様チェックプログラム」でエラーデータを出力する等、仕様の不備を改善しきれずにいました。 この法改正に伴い、届出作成仕様書が刷新されましたが、日本年金機構の提供する同書には、すべてのチェックロジックが記載されていませんでした。そのため、当初の更新プログラムは、開発すべきチェック項目が網羅されていなかったのです。 そこで弊社では、当局へ複数回にわたり日本年金機構への問い合わせを行い、「仕様チェックプログラム」の実態の把握に努めました。そうして、更新プログラムを再設計し、エラーも解消されて想定どおりに処理が終了することを確認。施行前に法改正に対応するバージョンアップを完了することができました。

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「エラーデータが解消されない・・・。」 実は、健康保険・厚生年金保険の届出様式変更への対応にあたり、当初設計していた更新プログラムでは、日本年金機構の「仕様チェックプログラム」でエラーデータを出力する等、仕様の不備を改善しきれずにいました。 この法改正に伴い、届出作成仕様書が刷新されましたが、日本年金機構の提供する同書には、すべてのチェックロジックが記載されていませんでした。そのため、当初の更新プログラムは、開発すべきチェック項目が網羅されていなかったのです。 そこで弊社では、当局へ複数回にわたり日本年金機構への問い合わせを行い、「仕様チェックプログラム」の実態の把握に努めました。そうして、更新プログラムを再設計し、エラーも解消されて想定どおりに処理が終了することを確認。施行前に法改正に対応するバージョンアップを完了することができました。

 

 

 

法改正に伴うシステム改修は、行政機関からいかに情報を引き出すことができるかが要になります。弊社では、行政機関への問い合わせや調査によって新たに判明した法改正にかかる情報は、ユーザー企業にも公開しており、多くのユーザーが法改正対応を行うにあたり、後手にならないようなサポート体制を担保しています。行政から入手した最前線の法改正情報およびシステムへの影響範囲を伝えるために開催しているユーザー向けセミナーは毎度ご好評を頂いており、開催発表から数時間で満席となることも珍しくありません。

ただシステムの仕様変更がなされるだけでは、法改正対応への不安はぬぐえません。制度がどのように変わるのか、システムへの影響範囲はどこなのか、運用はどのように変えるのがベストなのか、その際の注意点は何か。ただ修正プログラムを提供するだけではなく、こういった法改正にまつわる情報提供を行うことも、システムベンダーの重要な務めであると言えます。

法改正・システム改修事例4:働き方改革関連法(2018)

早くて2019年4月より施行される働き方改革関連法について、企業にとって早急な対応が求められる主要な改正内容をまとめました。

  改正内容 ポイント
1 残業時間の上限規制(大企業)         年間720時間以内、単月で100時間未満を上限とする。月45時間を超える月は6か月までかつ複数月平均80時間を上限とする。        
2 年次有給休暇の取得義務化         10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日は、毎年時季を指定して与えなければならない。        
3 フレックスタイム制の見直し 労働時間の清算期間の上限を、現行の1か月から3か月に変更する。
4 高度プロフェッショナル制度の創設 高収入で専門知識を持った労働者について、本人の同意等を要件として労働時間規制から外し、成果で評価する。
5 勤務間インターバル制度の促進 終業と始業の間に一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度の普及と促進に努める。
6 産業医・産業保健機能の強化

衛生委員会・産業医に対して、健康管理に必要な情報を提供することを義務付ける。

7 労働時間の状況を客観的に把握        

すべての人の労働時間の状況を客観的に把握するよう義務付ける。        

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弊社では、こうした法改正に対応するために、勤怠管理システム「COMPANY 就労・プロジェクト管理」をご利用のユーザー企業に、以下の要件を確認できる帳票機能をバージョンアップにて提供しました。

  • 残業時間数の複数月の平均は、80時間以内に収まっているか
  • 残業時間が月45時間を超える月は、6か月以内か
  • 有給休暇取得日数が5日に満たない従業員はいないか
この他にも、「清算期間が3か月のフレックスタイム制」への対応については、1か月を超える清算期間において、所定労働時間に対する超過や不足時間を計算し、集計結果を給与システムへ連携する更新プログラムを開発。ユーザー企業には、すでにバージョンアップした製品をご利用いただいています。なお、勤務間インターバル制度への対応については、本法改正の発表以前から一部のユーザー企業では実施されており、すでに機能として提供していたため、弊社にて開発の必要ありませんでした。
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弊社では、こうした法改正に対応するために、勤怠管理システム「COMPANY 就労・プロジェクト管理」をご利用のユーザー企業に、以下の要件を確認できる帳票機能をバージョンアップにて提供しました。

  • 残業時間数の複数月の平均は、80時間以内に収まっているか
  • 残業時間が月45時間を超える月は、6か月以内か
  • 有給休暇取得日数が5日に満たない従業員はいないか
この他にも、「清算期間が3か月のフレックスタイム制」への対応については、1か月を超える清算期間において、所定労働時間に対する超過や不足時間を計算し、集計結果を給与システムへ連携する更新プログラムを開発。なお、勤務間インターバル制度への対応については、本法改正の発表以前から一部のユーザー企業では実施されており、すでに機能として提供していたため、弊社にて開発の必要ありませんでした。

 

 

 

今後に向けて

法改正への対応は、改正概要が決まっても規程内容や帳票等の様式詳細の公表が施行の直前となり、限られた期間の中で開発方針を固めなければいけないことが多々あります。そのため、弊社では官報を始めとする各種媒体を日々確認するなど、迅速に法改正情報をキャッチする体制を構築しています。得られた情報は製品のバージョンアップに利用するのみならず、ユーザー企業への速報情報として提供しています。

今後も弊社では、法改正に伴いシステム上必要となる対応については弊社から迅速かつ正確なガイダンスの実施を徹底するとともに、未確定な法改正の動向については、行政機関の担当者を招くなどして、ユーザー企業との勉強会を実施していく予定です。

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番号法の制定当初は、弊社でも「COMPANY」に項目を1つ追加する程度の対応になるのではないかと捉えていました。 しかし、番号法に関する情報収集を進めれば進めるほど、マイナンバー管理に求められる安全管理措置(通信・データの暗号化/ユーザーの認証/リクエストの認証/IDによる個人番号データの識別)を満たし、かつユーザー企業における管理負荷を低減するには、そもそも「COMPANY」とデータベースを分けて設計した方がよいとの判断に至りました。

企業内で個人番号を保管する必要がないMKSとMOSを無償でリリースしたことにより、システム面においては、各社での対応負荷とコストをかなり抑えることができたと捉えています。マイナンバーについては初期に比べるとだいぶ落ち着きつつあるものの、近年でも関連した改正対応が必要になることも多いため、ユーザー企業に最大限貢献する対応ができるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

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