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キリングループ「働き方改革」取り組み事例

2018年9月に開催したカンファレンス「転換期を迎えた働き方改革 ー働き方改革法案の成立 これからの人事部門に求められる役割とはー」にて紹介された、創業111年目を迎えるキリングループの「働き方改革」事例。キリングループで人事/ITの両部門を経験したキリンビジネスシステム株式会社 基幹システム統轄部 シェアードシステムグループ 部長 湯本哲也氏による講演内容をダイジェストでお届けします。

トップのリーダーシップでドラスティックに改革を実行


キリングループ働き方改革事例の解説

誰しもに平等にある「一日24時間」——しかし、その時間の使い方次第で、個人の生産性も組織に対するパフォーマンスも変わる。キリングループは、企業が勝ち抜く戦略として“時間の使い方”に着目し、働き方改革に向けた新制度を次々と設計してきた。「従業員と会社は“イコール・パートナー”であるとの前提のもと、会社は従業員に対して何を共助できるのか。私は一番大事なことは、制度を作ることだと考えている。そこで、従業員一人ひとりの働く時間と場所の自由度を高めること、組織的に業務のあり方を見直して総労働時間の削減を図ること。この合わせ技で制度をつくりあげることが重要である」(湯本氏)。

ただし、制度はつくって終わりではなく、使ってもらい初めて効果を生み出すもの。制度改革後の利用促進や定着の秘訣について、湯本氏は次のように解説する。「2016年から段階的に取り組み出した働き方改革だが、開始にあわせて社内ポータルサイトに経営トップの決意表明を掲示。全社一丸となって働き方改革に取り組む姿勢を明確にした。そこから、立て続けに施策を展開していった。仮に施策一つひとつを単発的に実施していけば、従業員にとっては『何が変わったの?』で終わってしまう。連続して打ち出していったことが効果を示したと思う。」

キリングループが取り組む働き方改革
キリングループ働き方改革事例

働き方の多様化は、実体験を通じて共感できるもの


湯本氏は、働き方改革を“登山”に例えて考えるという。日常の散歩の延長線上に富士山への登山を捉えてしまっては、決して頂上までたどりつかないだろう。必要な装備や登山靴を整えたり、気持ちを引き締めたり体調管理も重要だ。新しい制度を導入して定着させるには、仕組みの整備に加えて、職場も個人も意識改革から始めなければならない。

キリングループ働き方改革事例 成功事例

多くのメディアにも取り上げられた「なりキリンママ・パパ」制度もその一つだ。実際には子どもがいない従業員が、仕事と育児を両立するママやパパになりきって、時間の制約や突発事態に応じた働き方をする取り組みだ。約1か月の間、このなりきる働き方を実践する。

「『なりキリンママ・パパ』制度の施策としてある“突発的な休み”。これは、勤務途中に『子どもが発熱したので、すぐに迎えに来てください』といった連絡が入り、その時点で即座に業務を終えるといったもの。以前、私と一緒に訪問予定だった人は、訪問の約束時間5分前にこの電話を受けて、本当にそのまま帰っていった」(湯本氏)。こうした電話は自動音声で行うことで、連絡を受けた本人が拒否できない仕組みになっているのも面白い。

また、重要なのは組織としてノウハウやナレッジの蓄積・共有を仕組み化することだという。これは、「なりキリンママ・パパ」制度の中で、なりきった従業員が日々の時短のコツや気づきを記録して共有し合う「ママパパ日記」という施策に反映されている。各従業員の改善アイデアを組織として認識・把握することで、全体最適をふまえた業務改革へとつなげていくことができる。「なりキリンママ・パパ」制度を通して、一企業人の前に、私たちは一人のお母さん・お父さんであるという価値観を互いに尊重し合う。また、育児だけでなく介護等で制約のある仲間を当たり前にサポートする。そんな多様な人材を活かせる組織風土づくりを目指していると湯本氏は語る。

働き方改革を成功に導く4大要素


業務効率化や競争力強化を実現する一つのカギはIT活用だ。キリングループでは、中期経営計画の成長戦略の重点項目に「ワークスタイル変革を推進するためのIT活用」を掲げ、オフィス・モバイルの切り口で様々な環境やツールを整備している。

「これからITもますます進化する。ここで大事なことは、ITはあくまでも道具であって、『道具をただ持つだけでなく、とことん使い倒すことで“あなたのなりたい組織の姿”を実現できる』と売り込むことにある。2003年に導入した『COMPANY』も同じで、個別開発をするのではなく標準機能を最大限に活用することで、システムに業務を合わせるという業務改革に取り組んだ」(湯本氏)。また、グループの間接業務を担うシェアードサービス会社の特長として、各社の制度の違いから生まれる業務の非効率さや課題点を発見しやすいということがある。こうした利点を活かしてグループ全体の問題解決を図るため、キリングループでは制度改革を進め、その共通化を取り進めてきた。

湯本氏は最後に、働き方改革を成功に導くポイントを次のように振り返る。「私たちは、『制度改革』『IT活用』『業務改革』『意識改革』の4つがバランスよく融合することが働き方改革の成功につながると実感している。新しい取り組みや制度も、従業員が利用したいと思うものにならなければ意味がない。ITも導入して終わりではなく、どのように個人の生産性に貢献していくか。キリングループは創業100年を超える比較的古い会社でもあるため、職場として、個人としても意識を変えていかなければなけない。」 自社の働き改革を見つめ直す。昨今、世の中的には様々な働き方改革に関するキーワードが乱立されている中、『木を見て森を見ず』というよりは、『木が多くて森の形が見えず』という落とし穴にはまり、働き方改革の迷子になってはいないだろうか。働き方改革の迷子にならないよう、各社にあった施策を段階的に取り組むことが重要である。



「転換期を迎えた働き方改革 ― 働き方改革関連法の成立 これからの人事部門に求められる役割とは ―」

近年多くの企業で「働き方改革」が推進される中、2018年6月働き方改革関連法が成立しました。これにより、企業は2019年4月1日に施行される関連法令への対応が急務とされています。それと同時に、個人の働き方に対する意識が変化するにつれ、優秀な人材を確保・育成するために人事部門に求められる対応は多岐にわたります。

多様化する働き方に対応し組織の人材を最大限に活かすために人事部門はどのようにあるべきか。また、働き方改革関連法の成立が企業に与える変化に対し、人事部門の業務にはどのような仕組みが必要とされるのか。本セミナーでは、働き方改革をテーマにこれからの人事部門に求められる役割についてご紹介します。

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