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2018年度税制改正のポイントを解説 第1弾

掲載日

2018年6月6日(水)

2018年度税制改正のポイントを解説 第1弾
税制改正が会社員に与える影響は?

2018年度税制改正のポイントを解説 第1弾
税制改正が会社員に与える影響は?


2018年度税制改正には、働き方の多様化を踏まえた個人所得に対する課税の見直しが盛り込まれました。特に、会社員の給与等から源泉徴収される所得税について、大きな変更があります。それらの変更点は、会社員や企業にとってどのような影響があるでしょうか。

税負担増のボーダーラインは? 給与所得控除と基礎控除の見直し

2018年度の税制改正には、「給与所得控除」と「基礎控除」の見直しが盛り込まれました。

会社員の給与等から源泉徴収される所得税は、源泉徴収前の収入金額から給与所得控除の金額が差し引かれた「給与所得」に対して課せられます。給与所得控除は、事業所得などで差し引く必要経費の代わりに、所得税法によって収入金額に応じた控除額が定められているものです。また、年末調整や確定申告において年間の所得税額を計算する際には、年間の所得金額から「基礎控除」の金額を差し引くことになっています。基礎控除の金額は現在、一律で38万円です。フリーランスなどのように企業・組織から給与を受けない人は、所得計算にあたり基礎控除は適用されますが、給与所得控除は適用されません。

給与以外で収入を得る働き方が今後拡大することを想定し、今回の税制改正においては、給与所得控除と基礎控除との間で控除額が振替られることになりました。具体的には、給与所得控除の金額が一律で10万円引き下げられるとともに、基礎控除の金額が一律で10万円引き上げられて48万円となります。




あわせて、一定水準以上の収入・所得金額の人については、給与所得控除や基礎控除の控除額や適用を見直されることになりました。給与所得控除については、給与収入が850万円を超える場合に控除額が195万円へと引き下げられます。基礎控除については、現状ですと所得金額に関係なく一律で同額の控除額が適用されています。それが改正後には、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額が段階的に減り、2,500万円を超える人には基礎控除が適用されないこととなります。




これらの改正は、2020年以降に源泉徴収される所得税について適用されます。

こうした給与所得控除と基礎控除の見直しにより、年間の給与収入が850万円を超える人は同年以降、基本的に所得税の税負担が増えることになります。毎月の給与ですと、社会保険料を差し引いた給与月額が71万円以上となる人については、源泉徴収される所得税額が増加することになります[*1]。ただし、次に述べる「所得金額調整控除」の対象となる人は、給与所得控除の控除額減少分については負担増が生じないようになっています。

[*1] 所得税額が税額表から算定されている企業で、扶養控除等申告書を提出している人の場合

扶養対象により税負担を調整。所得金額調整控除の創設

子育てや介護を行っている人たちについては、先の給与所得控除の見直しにより税負担増が生じないように調整する措置が設けられました。それが、「所得金額調整控除」です。給与収入が850万円を超える人のうち、同一生計内の22歳以下の扶養親族や特別障害者控除の対象となる配偶者・扶養親族がいる人については、年末調整において給与所得から所定の金額[*2]が差し引かれることで、給与所得控除の見直しによる税負担増が相殺されることとなります。ただし、所得金額調整控除を受けるには、年末調整の際に申告書の提出が必要となります。


[*2] (給与等の収入金額※-850万円)× 10% ※収入金額が1,000万円超の場合は1,000万円で計算

年末調整はどう変わる?提出する申告書が増加


現在、年末調整の際に提出する申告書の種類は以下の4つです。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 保険料控除申告書
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

今回の税制改正により、2020年以降については以下の2つの申告書が増えます。

  • 基礎控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書


現状の基礎控除は所得金額によらず一律で適用されます。それが先述の改正により、給与以外の所得も含めた年間の合計所得金額に応じて、控除の可否や控除額が変わることとなります。そこで、基礎控除の適用を受ける人は、年末調整の際に基礎控除申告書を提出して、合計所得金額(の見積額)を申告することとされました。

また、所得金額調整控除の適用を受ける人は、適用条件に該当する扶養親族・同一生計配偶者の氏名・個人番号や合計所得金額(の見積額)などを記した、所得金額調整控除申告書を年末調整の際に提出することとされました。

よって2020年以降の年末調整において、会社員をはじめとして給与等を受ける人は、最多で6種類の申告書を勤務先に提出することとなります。そして勤務先の会社等では、追加された申告書を年末調整事務において取扱う対応が求められます。

まとめますと、2020年に施行される「給与所得控除」と「基礎控除」の見直しにより、 「所得金額調整控除」に該当しない給与収入850万円超えの人は所得税の負担が増加 することとなります。また、 年末調整の際に提出する申告書が2種類増える ことになります。そして、企業においては2020年に向けて、 改正後の「給与所得控除」「基礎控除」「所得金額調整控除」を踏まえて給与計算・賞与計算・年末調整での所得税計算を実施 することや、 増加した申告書の取扱いについて対応 の準備が必要となります。納税者の手間も企業の負担も増えそうですが、手続きを効率化する動きも進められています。次回第2弾では、電子化推進で変わる年末調整についてご紹介します。



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