グンゼ株式会社様

コア技術強化・業務効率向上・情報活用向上を実現
~NotesからArielAirOneへの移行事例~

 
インタビュー参加者:

鶴海 真治 様(技術開発部 IT戦略室 室長)

 

グンゼ株式会社(以下、グンゼ)は、アパレル事業、機能ソリューション事業、ライフクリエイト事業の3つの事業を有しており、独自の技術開発による、多岐の分野において優れた機能と付加価値を持つ製品の開発に取り組んでいます。それぞれの商品やサービスを通じて、より多くのお客さまに「ここちよさ」を提供しています。

創業の精神である「人間尊重」「優良品の生産」「共存共栄」を経糸に、時代のニーズに合わせた事業の展開を緯糸にして、変革と挑戦を続けてきました。お客さまに「ここちよい商品、ここちよいサービス」を提供すること、そして「人々のQOLの向上に貢献する商品・サービス」を提供することにより社会に貢献するという強い意思をもち、「社会にとって必要とされる企業」「社会とともに持続発展する企業」として顧客満足と企業価値向上に取り組んでおります。

 
グンゼは2017年に、20年間も利用し続けたNotesを「ArielAirOne」(以下、Ariel)に移行しました。導入から現在にかけてArielを活用した継続的な改善に取り組んでおります。

 
今回は技術開発部 IT戦略室 室長 鶴海 真治様に、Notes移行・Ariel導入の背景、進め方、工夫点と効果などについてお話をお伺いしました。

※本記事は「Works Way 2021 - 礎×変革 ネクストノーマル時代に加速するDX」(主催︓ワークスアプリケーションズグループ)におけるセッション「事例から学ぶNotes移行成功の秘訣」を基に再編集したものです。

Notes移行とArielの導入背景

2016年の事業部長ヒアリングで、ワークスタイル変革の要望が多くて、Notes移行を検討しました。20年間Notesを使い続けてきましたが、グループウェア市場はクラウドへ推移しており、2017年時点でNotesのシェアが14%を切り、技術的な将来性が見込めないことも不安要素になっていました。
また、利用者目線として、Notesのリモートアクセスの仕組みは通信量が多く海外では処理が遅くて使いにくいこと、スマートデバイスからのアクセスには対応していなかったこと、得意先とのデータ交換が7MBまでしか行えなかったことなどが課題でした。
こうした経緯から、「コア技術強化」「業務効率向上」「情報活用向上」に向けた機能とコストの観点より、NotesからArielへの移行を決定しました。

Arielの選定理由

選定にあたり、まず以下を検討しました。
 
1.製品決定
 ・カテゴリー別の機能で製品評価と費用面で、ベストな組み合わせを選択
 ・製品評価としてメーカーにアプリ利用の許可を取り、実環境で行った

2.構成の決定
 ・利便性を向上しつつ、セキュリティを担保できるベストな構成を決定
  
3.利用方法の決定
 ・パソコン、スマートデバイスで、どう使うかを決定
 
最初は製品選定から入りました。Notesはメール、ワークフロー、文書管理の3つで構成されておりますが、これらをクラウド上で、かつセキュリティも担保した機能が搭載されている製品が必要ということで、Arielを柱とする製品群で決定しました。
製品決定後は、利便性を考慮しつつ、セキュリティも担保する構成を決定し、パソコンやスマートデバイスでの利用方法についても決定しました。

導入プロジェクトの進め方

検討の結果、4年で移行することを決定ました。そのうえで全体を5工程に分割し、プロジェクトの方針を立案しました。


1つ目は、「プロジェクト計画段階」で、スケジュール・品質管理、会議体、成果物などを描くことです。各工程で具体的にやるべきことを洗い出し、WBSに落とし込みました。

2つ目は、「要件定義段階」で、具体的な課題と今後の方向性から現実解を探り、定義することです。その場で決定できる事は決め、後日検討するものは課題として明確にしていました。

3つ目は、「クラウド設計段階」で、システムの見た目や操作感をクラウドの事情を考慮して設計することです。ここでは、利便性とセキュリティを考慮したログイン認証の流れを整理していきました。

4つ目は、「システム構築段階」で、進捗管理、品質管理に専念し、ボトルネックを排除することです。アウトプットを検証し、不具合項目を抽出しました。対応策と担当を明確にした上で、優先度付けを行い、納期・品質管理を遂行しました。ボリューム的に4年計画での移行となりますので、新旧をどう共存させるかを検討し、決定しました。

5つ目は、「普及段階」で、操作マニュアルと現場説明を充実させ、円滑な立上げを図ることです。マニュアル作成計画を立て、マニュアル、ダイジェスト版をそれぞれ作成しました。

導入効果 

まずプロジェクト開始前に断捨離し、移行過程で不要なDBを破棄するとともに、DBの設計統一による集約を通じて、1300のDBを466と、約1/3のボリュームを削減できたことで、保守性を格段に高められています。
その効果として、「コア技術強化」「業務効率向上」「情報活用向上」といった課題であげた機能は、ほぼ実現できました。例えばメンバーのスケジュール共有や閲覧ができていたり、タブレット・ スマートフォンからの利用で外出先での承認作業による時間短縮もされており、他にも検索機能を利用して資料文書の保管場所をすぐ特定できております。


Arielを選定して良かった点と成功ポイントは、次のように、それぞれ4点があると思います。
 
Arielを選定して良かった点:
1.Notesとの相性がよく、併設利用が可能
2.クラウドサーバーからWebに変わるが、感覚的にはNotesと似ているので、利用部門の混乱が少ない
3.ワークス社のクラウドサービスが、運用面の煩わしさを引き取ってもらえる
 ※AWS環境での留意点、バックアップ、バージョンアップ、容量の追加等
4.Arielを含めたグループウェア刷新をしていたので、コロナ禍で激変する環境にも対応できた
 
成功ポイント
1.利用部門とのコミュニケーションを密にし、ある程度要望も取り入れること
2.利用頻度が高いアプリからの移行がベストだが、Arielに適さないものは除外する
3.移行に関しては、不要なデータ移行は絶対にしない
4.ワークス社の@SUPPORT(サポートサービス)をふんだんに利用する

Arielの各種機能の中で、特に社内で好評なもの 

1つ目は全社ポータル画面です。全社ポータル画面でコーポレートコミュニケーション部門から最新情報を常に発信しております。メニュー、マニュアルも集約し、メイン画面として確立させ、情報の集約・共有が進みました。
 
2つ目は週報アプリです。従来はPC・社内規定での入力でしたが、スマートフォンでも入力できるようになり、外出先や移動時間を活用でき、働き方改革と共有の迅速化につながりました。

3つ目はシステム開発依頼アプリです。以前は案件の進度ごとに縦積みでデータが発生していたため、1件ずつ進度を確認していました。Arielでは1案件1行でのステータス管理に変更し、1目で全体が把握できるようになりました。また請求書との連携もRPAを活用し、運用の効率化も図りました。

最後に 

Arielの活用を通じて、センターオフィスやサテライトオフィス、自宅の場所を問わない情報共有の仕組みを整備し、状況に応じて社員が働く場所を自由に選択できる働き方改革を目指しています。その一環として、Arielで汎用的なワークフローツールを準備して脱ハンコを実現する計画です。





※本記事は2021年6月の内容です。