株式会社東海理化様

変革をかたちに
~次なる経理へ向けた業務改善事例~

株式会社東海理化(以下、東海理化)は、「快適を叶える」「安心で支える」「安全を守る」を テーマに、主に国内の大手自動車メーカー向けに自動車用のスイッチ類、シフトレバー、シートベルトなどを製造・販売しております。最近では既存のセキュリティ技術を活用した、スマートフォンでさまざまな鍵を施錠・開錠できるデジタルキービジネスや、自動車部品に使うマグネシウム加工技術・磁気センサー技術を活用した商品・サービスの企画、開発など、新規事業領域への参入にも力を入れて取り組んでいます。また国内外に多くの拠点を有し、日々グローバルでのものづくりに取り組んでおります。

東海理化は、2015年10月に導入プロジェクトを開始し、株式会社ワークスアプリケーションズ・エンタープライズ(以下、ワークス)の「HUE Classic Financial Management(以下、CFM)」「HUE Classic Business Management(以下、CBM)」「HUE Classic Assets Management(以下、CAM)」を2017年4月より利用開始しました。導入から現在にかけてHUE Classicを活用した継続的な改善に取り組んでおります。


今回は、導入から現在の活用までさまざまな形でHUE Classicにかかわっているご担当者様に、導入プロジェクト、その効果、今後の展望についてお話いただきました。


※本記事は「Works Way 2021 - 礎×変革 ネクストノーマル時代に加速するDX」(主催︓ワークスアプリケーションズグループ)におけるセッション「変革をかたちに~次なる経理へ向けた業務改善事例~」を基に再編集したものです。

 
インタビュー参加者:

坂本 孝文 様(経理部 プロジェクト推進室 室長)

HUE Classicの導入背景

 当社は以前から「経理システムの老朽化、レガシー化による経理業務の生産性低下」という、経理業務における重大な課題を抱えておりました。 1990年代前半に開発されたシステムで、利用しているのが日本で唯一当社のみ、CSV出力や明細ドリルダウン、会計基準変更対応など「当たり前のことが出来ない」状態でした。 
 幸いなことに、当社は改善をする風土があるため、システム上の弱みを個人の改善や頑張りでカバーし続けていましたが、それもここ数年の日本の会計制度・経営環境の劇的な変化により、もはや限界がありました。さらに外部変化だけではなく、社内における経理部門の役割の変化もあります。すなわち、ただ決算を期日までに組むのではなく、経営層の懐刀として経営判断のための情報提供という役目を果たさなければなりません。これら理由により、システムの刷新が必須という結論に至りました。

HUE Classicの選定理由

 我々はまず、会計システム更新による狙いを明確にし、その4つの狙いに対してシステムが合致しているかという観点で選定しました。


 その結果、上記に記載の通り、HUE Classicが最もそれに沿ったものであるという結論に至りました。

導入プロジェクトの進め方

 2015年10月にHUE Classic導入プロジェクトがキックオフしました。担当役員からの「自分の仕事を見つめ直して改善に取り組むこと」「現状の仕事から何かを削るのではなく何が必要かをゼロベースで考えること」というリクエストの元、導入スケジュールを遵守することと狙い通りの結果を残すことを基本方針とし、プロジェクトを進めました。
 いずれも非常に重要なものですが、最も重視したのが「ゼロベースで考える」です。システムを置き換える場合、どうしても現状の業務フローを基準に考えてしまいますが、一度古いやり方をそのまま新システムに引き継いでしまうと、結局非効率なやり方がまた数年先まで引き継がれてしまいます。新しいやり方、業務フローを考えるのは簡単ではありませんが、その影響がのちのちまで及ぶことを考えると、導入時に多少時間がかかっても「ゼロベース」を追求すべきであると思います。またHUE Classicは豊富な標準機能があるため、「ゼロベースで考える」というよりもHUE Classicの標準機能に自社業務をフィットさせるにはどうしたらよいかを考えることになりますので、その点は多少楽でした。
 大規模な経理システム刷新プロジェクトは20数年ぶりでしたが、ワークスさんが提供しているWBS、掲示板、課題管理表を活用し、連携を密にして二人三脚で進めていきました。このようなツールを用いて進捗状況、現状課題を見える化することで、導入プロジェクトを円滑に進められ、当初の計画通り1年半で新システムへの移行を行うことができました。

導入効果

 スケジュール通りのシステム導入は達成できましたが、「導入して終わり」ではなく、当初の狙い通りの効果が得られたのかの振り返りおよび検証も重要と考えました。当社は上述の通り、「業務効率化(4人相当の工数削減)」「業務標準化」「制度改正へのタイムリーな対応」「分析力強化」の4点を目標として当初掲げており、それぞれについて振り返りました。

ー 業務効率化 ー 

 経理部人員4人工相当の工数削減を掲げており、結果としては2人減となりました。ですが、HUE Classic導入後の様々な案件を既存の人員で乗り切っており、増員せずに新規プロジェクト等の負荷増にも対応できているため、4人工の削減を達成できたと認識しております。達成できた要因としては、Hue Classic導入だけではなく、導入を機に業務そのものを見直したことによる効果が最も大きいと考えています。そのために以下に記載のことに取り組みました。 

   目標達成のための取組事項

   1.既存業務をそのまま移行するのではなく、システムに合わせたやり方に変更
   2.業務そのものを「やめる」ことも実施
   3.業務変更とともに帳票類の見直しを実施し、不要帳票類を削減

 この中でも一番効果が大きくかつ簡単なものは「業務をやめる」ことでした。システム導入を機に「業務をやめる」というのは一番やり易いタイミングです。例えば「あるデータをとりまとめて資料作成、上司に作成・提出する」という業務があるとき「そのレポートをHUE Classicで再現する」ことを第一に考えるのではなく「いつでもHUE Classicで見られるなら資料作成そのものを止めてはどうか?」という考え方にシフトしました。こうすることで資料レイアウトの設定作業という導入に係る工数を低減できますし、その後も資料作成・提出業務をまるまる浮かすことが出来ます。「無駄な仕事をやめる」ことの効果の大きさを導入を通じて実感しました。


ー 業務標準化 ー 

 こちらもHUE Classic導入にあたり、個人で保有している手順書やそもそも手順書化されていないものを標準作業に落とし込み、マニュアル化することで達成できました。この際、文章のみで説明する資料ではなく、画面キャプチャを多用しビジュアル的に分かりやすく作成するように心がけました。また標準マニュアル類もワークスから提供されており、そちらも大変役立っております。ただしシステムバージョンアップ等にともないいつの間にかマニュアルが古新聞化するリスクがあるため、いかに維持管理していくかは課題として残っています。


ー 制度改正への対応 ー

 2019年10月に消費税率の改正や電子申告への対応等、導入後に複数の制度改正対応を行いましたが、いずれもバージョンアップがスムーズに行われました。追加費用なく通常のサポートの一環としてワークスさんからの支援を受け、業務を止めることなく制度改正に対応することができました。


ー 分析力・提案力の強化 ー 

 4つめの目標である分析力・提案力強化については、現在道半ばといった状況です。主な理由としては、経理情報が元情報からサマリされている場合、そもそも分析ができないこと、またあくまでもデータは手段に過ぎないことの2点です。従来出来ていなかったドリルダウン機能で、相対的に分析の手間はかからなくなりましたが、付加価値を生むような高度な分析、提案のためには会計システム外から取れるデータが重要であると改めて認識しました。こちらの分析力・提案力強化については、現在BIツールの活用等での検討を進めています。


ー HUE Classic 導入の副次効果 ー

 最後に、当初想定していなかった副次効果として、「この業務をHUE Classicで実現できないか?」「このHUE Classicの機能を活用できないか?」「いっそのことこの業務を止めたらどうか?」という継続的な改善マインドがより一層強くなりました。HUE Classicは豊富な標準機能を有しているからこそ、このようなマインドが醸成されやすいのではないかと個人的には思います。


ー 実際の改善事例 ー 

 HUE Classicの活用例としてひとつご紹介させていただきます。各工場で持っていた小口現金の出納・補給といった管理業務があり、従来はエクセル台帳管理、印刷、押印、仕訳のハンド入力というアナログ作業でした。これをHUE Classicの標準機能で管理するようになり、その後「そもそも工場で小口現金を持つ必要があるのか?」という考えに至り、最終的に工場の小口現金そのものを廃止しました。これも結果的にHUE Classic導入の効果であると考えています。

最後に

 システムを新しくすればすべて解決ではなく、改善マインドが重要だと考えております。「せっかく導入したなら使い切ろう」でも「もっと楽をしたい」でも良いですが、重要なのは現状を良しとせず、変えることを厭わない風土・人材育成だと思います。この変えることを厭わない風土を基に、当社はさまざまなことに取り組んでまいります。

※本記事は2021年6月の内容です。