インタビュー参加者:
株式会社宇徳 経理財務部 経理チーム リーダー 下崎 悟史 様
財務チーム リーダー 大野 靖人 様
HUE Classicが新たな挑戦への実現可能性を拡げる
—導入に至ったきっかけや背景についてお聞かせください。
下崎様:
当社グループは、「物を動かす」をキーワードに、物流、プラント、港湾の3つの事業を基盤として、多様な総合物流サービスを提供することを強みとしています。多様なサービスを展開しているがゆえに、HUE Classic導入以前は会計システムへのエントリー機能を有する業務システムが、他社のものと自社開発したものと複数存在しているような構成になっていました。その構成が非常に複雑で、データベース自体も分散され、かつ同期もしっかりとは取れていない状況でした。そのため、財務会計と管理会計を一致させる補助的作業が多く発生していて、二重入力があったり、データ修正が生じたりと様々な手間がかかっていました。運用・保守面でも、マスタの管理・改修作業がとても煩雑で、システム人員は常に不足していました。
そんな中、新たな会計システム導入へと踏み出すきっかけとなったのは、自社システムの開発言語の問題です。ちょうどWindows OS 64bitを基本とする時代も予測されていたことを踏まえ、今後の変化に対応していくためには大規模な改修が必要になることを想定し、システムの構成自体を再構築する必要がありました。
大野様:
導入以前は、何か新しいことに挑戦をしてみたいと思っても、自社開発部分の改修や他社システムとの連携部分の調整にまで考えを及ばせる必要があり、頭の中でやりたいことの構築はできているのに実現するまでの工程が妨げとなっていました。もっと会社を良くしたいという意欲に反して実現できないことがフラストレーションとなって、もどかしさをずっと感じていました。
そんな時に、新会計システムの製品選定をする段階でHUE Classicのことを知りました。第一印象は多機能であること、さらにそれらの機能を自らの意思で組み合わせられるという柔軟性の高さから、我々のやりたいことがこの製品なら実現できるのではないかという期待感を抱くことができました。
導入した今では、例えば、資金決済周りのFinTechや金融機関サービス等がどんどん発展していく中で、我々も財務部門として、一事業者として、新しいアイデアが浮かぶタイミングは多々あるのですが、そういう時に「HUE Classicを活用してどのように実現できるか」と実現できることを前提とした思考回路が持てるようになりました。そういった点が非常に魅力だと感じています。
決め手はエントリーとデータハウス機能。無償バージョンアップもポイントに
—選定時の決め手や期待されたことについてお聞かせください。
大野様:
決め手は、エンドユーザーのデータエントリー機能とデータウェアハウスとしての性能の高さです。元々自社開発で当社グループの特性に応えるエントリーシステムを使用していたことから、そのシステムと同等ないしはそれ以上の性能を持っていることを新システムへの要件としていました。HUE Classicは、経理・財務部門から事業部門に向けて自信を持って提案できるシステムでした。無償バージョンアップもポイントの一つです。
下崎様:
会計システムは、エントリーをするのは現場である事業部門ですので、システム刷新は大勢の人に影響を及ぼします。メインとなるのは現場での使い易さとスムーズな切り替えですが、以前は、事業部門の入力のしやすさを最優先にしていたので、データを処理する経理・財務部門にとってはデータがまとまっていない状態でした。エントリー機能の性能を落とさないことを優先しながら、経理・財務部門の業務効率化にも副次的に効果があれば良いと考えていました。
導入前の操作テストの期間はしっかり取りました。実際に事業部門に触ってもらって意見を貰い、それを反映していくということを繰り返しました。社内説明会は60回くらい実施しています。当初の計画では利用する方の知識習得が間に合わないと判断し、教育研修に時間を割くため、稼働そのものを1年延ばすことにした程です。HUE Classicが顧客の要望を受けて成長していく製品であるのと同じように、弊社のHUE Classicも事業部門からの要望を受けて成長してきたといえます。
決算時期の残業が大幅減に「繁忙期」の感覚が無くなった
—実際に導入されてからの変化や状況はいかがでしょうか?
下崎様:
エントリー部分は従来のシステムと同等の使い勝手が維持できていて、副次的な部分としていた経理・財務部門の業務効率化にもとても効果を発揮してくれています。エントリーから財務会計、管理会計のデータ連携ができるようになり、差異が出なくなりました。データの二重入力や整合性の確認、修正といった作業が無くなったという点では、事業部門も経理・財務部門も負担を軽減することができています。以前は伝票起票や給与計算も、別システムとのデータ連携ができていなかったため、計算はそれぞれのシステムでやるものの、会計システムへの結果入力はExcelに落とし込んで取り込むというような手動連携をしていたので、手作業の仕訳が多く大変でした。HUE Classic導入によって、こうした部分のほとんどのデータ連携が実現しています。
導入以前の決算業務では、データベースが複数あり、データが散在している状態からのスタートだったので、まずは集めてきて残高を集計するところから手作業でやっていました。導入後はその業務が完全にゼロになり、決算数値の集計作業や数値の正確性を検証する作業も大幅に軽減することができました。以前は決算期=繁忙期で、他の作業がほとんどできませんでしたが、今では繁忙期という感覚が無い程です。今は決算の時期でも残業時間はそれほど多くはありません。決算以外の業務に多くの時間を割けるようになったことで、本来経理として取り組むべき事業部門や関係会社の管理・サポート業務に時間を注げるようになったことは大きいですね。
—運用を支援する体制への影響はいかがでしょうか?
下崎様:
導入と共に事業部門や関係会社からの問い合わせに対応する3名体制のサポートデスクを設置しました。問い合わせ件数が落ち着いた現在では、経理・財務部門が出した改修提案を実際に設定や検討したり、WAPとのコミュニケーションを担ったりしてもらっています。システム改修の面でいうと、以前は要件定義を検討するだけでも大変でしたが、WAPのサポートのおかげで本当にシンプルになりました。無償でバージョンアップをしてもらえるので本当に助かっています。以前のシステムでは、改修にあたる要員を外注しなければ追いつかない程配置する時もありましたが、現在は少なくともHUE Classicに関しては我々とサポートデスクの要員だけで日々対応できています。
大野様:
WAPのサポートサービス「@SUPPORT」の存在も大きいですね。以前は、何かをしようと思った時に、自らシステムの仕様についてイチから調べる必要がありましたが、それが「@SUPPORT」上で自由に検索して答えやアイデアを見つけることができます。見つけられない時にも掲示板を使って依頼ができるので活用させてもらっています。
グループ全体の導入で決算業務を集約、外注コストを大幅に削減
―具体的な導入効果についてお聞かせください。
下崎様:
グループ全体で共通のシステムを使えることにもメリットを感じています。権限を付ければグループ各社の現時点での情報・データを参照することができ、日常的に各社のサポートが可能となりました。その環境を応用し、これまで外注をしていた各社の決算業務を、一カ所に集約してまとめて対応する体制を構築したことで、コストを大幅に削減できました。リース資産を含めた固定資産管理がHUE Classic Assets Management(固定資産管理システム)で対応できていることも大変効率的だと思います。今では固定資産に関連した決算作業は大幅に減りました。
加えて、経費精算システム(HUE Classic Financial Management)の「駅すぱあと」との連携も画期的でした。これまで交通費の精算時に経路と料金を都度調べていたのですが、その必要が無くなりました。出張精算では、以前は申請者がExcelで金額を算出して申請してもらっていたものの、規程が複雑だったため、その内半分は不備による差し戻しが発生していました。今はシステムで自動計算されるので、ほぼ不備は無くなり、申請する方もかなり楽になったと思います。そういった細かい改善点がたくさんあります。
大野様:
導入以前は、我々経理・財務部門が、月次や本決算といった締めの時期に深夜残業や休日出勤することもありましたが、今では大幅に削減することができました。債権・債務管理システム(HUE Classic Business Management、以下CBM)では、誰がいつどう入力したのかまで追える債権一覧照会や債権明細照会のおかげで、どこをどう直せば入力精度が向上するのか分析しやすくなりました。月次でモニタリングをして、改善効果を継続的に測っています。
CBM 周りでいうと、以前の滞留債権の管理だと、財務としても分析し難い状況であったため関わることが難しく、回収そのものは事業部門の責任という見方になっていました。HUE Classic導入後は、これまで以上に深掘りした管理ができるようになり、債権債務の長期滞留や異常値がないかレビューする会が事業部門と共同開催できるようにまでなっています。重大な事象を防ぐために、未然にリスクを察知できる状態といえます。
条件が組みやすい柔軟性のあるロジックで多様な自動化を実現
—実際に使用する中で利便性を感じていただいているお気に入りの機能はございますか?
大野様:
CBMの自動入金消込です。HUE Classic導入以前は担当者の経験値に頼っていたような専門性を要する作業でしたが、それを自動化できることに驚きました。この機能をしっかりと活用したいからこそ、債権管理やデータ入力の精度向上には力を入れています。
そもそもHUE Classicはロジックに柔軟性があって条件が組みやすいので、それこそシステムに明るくなくともExcelで関数を少しばかり組めるのであれば、十分使いこなすことができ、多様な業務の自動化が実現していけることが魅力だと思っています。
下崎様:
お気に入り機能は多々ありますが、まず一つ目に会計システムとしては基本となる勘定明細照会です。照会機能は他にも、納品先とPL(損益計算書)あるいはBS(貸借対照表)のマトリクス照会を活用しています。決算時に、会社間の取引照会をする作業でパッと集計して出した数値をそのまま使えることから効率性が高く、単体決算だけでなく連結決算に伴う作業時間の短縮にも繋がっています。その次に、CAM(HUE Classic Assets Management)の償却予想ができる機能です。事業部門で投資計画を立てる上で参考情報とするため、以前は手計算でExcelの表を作成して提出していましたが、今ではシステムでポンと出せるので助かっています。
また、導入以前は、接待交際費をExcelの申請書を基に計算した結果を踏まえ、5,000円の上限基準に照らして手動で勘定科目を振り分けていましたが、今はHUE Classicで基準に応じて自動振り分けできるようになりました。4月よりその上限額が引き上げられますが、そうした法改正にも対応してもらえるので安心です。
大野様:
当社は資金決済用の口座が複数あるのですが、HUE Classicの自社口座設定ポリシー機能では、条件を予め設定するだけで支払先口座の情報に合わせて最安の手数料となる振込元口座に自動で振り分けた上でFBデータを出すことができます。これも以前は担当者がすべて手作業で行っていました。銀行でなにか障害が発生した場合にも、ボタン一つで振込元口座の変更が可能なので、支払業務の担当者にもあまり負担をかけることなく対応できる体制がとれています。
—今後取り組みたいとお考えになられていることはありますか?
大野様:
当社では現在、業務プロセスの自動化を推進するRPA(Robotic Process Automation)に取り組んでおり、ACAI、ACAP、外部起動API等を使いながらバッチ処理とRPAを組み合わせて設計を進めています。HUE Classicでは、ユーザーインターフェースや外部インターフェースが標準提供されていて、RPAでも動かしやすいことから、どんどん手作業を減らし、頭を使って考えたり情報発信したりする作業を増やしていきたいと思います。
顧客からの要望に応え続け、いつまでも進化し続ける柔軟性のあるシステム
—既存ユーザー様や関心を寄せていただいている企業の方へ、メッセージをお願いいたします。
大野様:
まずは、是非ご自身でHUE Classicをいじってみることをお勧めします。楽しみながら、面白く便利な機能を見つけていくような感覚です。会計システムは、特に債権債務の管理システムでは、支払依頼入力や支払予定管理、支払い処理のような基本の部分はそこまで変わらないと思います。先ほどの、自社口座設定ポリシー等のちょっとした、かゆいところに手が届くような機能が最初から備わっているところがポイントですね。
下崎様:
HUE Classicはガウディのサグラダ・ファミリアのような存在だと思っています。顧客からの要望に応え続けて、いつまでも進化し続けているという意味であり、それが一つの魅力だと思うので、どんどんWAPへ要望を伝えていきましょう。実際に機能として実現してもらっていて、本当に柔軟性がありますし、これからも共にシステムを育てていく、どんどん良いものを創り上げていけていると感じています。
HUE Classicの導入初期に最も時間をかけたのは勘定科目の設定です。設定次第で、後々の機能の使い方が決まってくるからです。会社として最終的に欲しい情報を得るためには、勘定科目で分けられるように設定していくことが肝です。システムの入れ替えは、既存のものを見直し、変えるチャンスですので、ぜひ勘定科目設定に労力を割いていただくと良いかと思います。