固定資産
ハウステンボス株式会社
棚卸準備の工数を大幅削減。「HUE」で数時間に
ハウステンボス株式会社様は、長崎県佐世保市においてオランダをコンセプトとしたリゾート施設「ハウステンボス」を運営されています。「環境を含めたすべてのステークホルダーに誠実でありたい、そして、共にハッピーでありたい」をMissionに掲げ、ゲスト(お客様)に最上級の感動と興奮をお届けするため、時代の変化に合わせ進化と成長を続けています。場内で繰り広げられる圧倒的スケールのイルミネーションは2024年に世界一(※1)の称号を獲得され、2025年6月には世界唯一(※2)のミッフィーをテーマにした新エリア「ミッフィー・ワンダースクエア」をグランドオープンされました。
2017年に、ハウステンボス株式会社様は事業領域を拡大される中で、従業員の管理業務における生産性向上を目指し、ワークスアプリケーションズ(以下、WAP)の大手企業向けERP「HUE」を導入されました。本記事では、導入期間から現在の活用状況、今後の展望についてお伺いした内容をご紹介します。
※1:(一社)夜景観光コンベンション・ビューロー「International Illumination Award 2024」にて「2024年度最優秀賞」を受賞
※2:独自のライドやアトラクションがあるのはハウステンボスのみ(ハウステンボス調べ)
インタビュー参加者:
ハウステンボス株式会社
常務執行役員 CFO 森 裕幸 様
経理部 会計課 志田 美津子 様
【課題】属人化した固定資産棚卸業務と、老朽化する基幹システム
―「HUE」を導入いただいた当時の背景や課題についてお聞かせください。
森様:
きっかけは、それまで利用していたシステムのサポート終了に伴い、リプレイスを検討したことです。ちょうど福岡県で開催されていたWAPのサービス説明会に参加しまして、リプレイスするのであればこういうシステムが望ましいと、導入を決めました。
志田様:
これまでは固定資産管理と固定資産棚卸管理は別の専用システムを使っていましたが、「HUE」では棚卸管理が包括されています。「HUE」に移行するまでの間に、棚卸管理システムのサポートが終了してしまって一時的にExcelで管理していました。そこから資産リストを作成して各部門に配布、経理部に調査結果を返送してもらって集計をする、という流れで棚卸をしていたので、資産リストの作成だけでも数日かかっていました。
【解決に向けて】経理主導、2名体制でやりきった導入プロジェクト
―「HUE」導入にあたって気をつけた点、進め方で工夫した点などをお聞かせください。
志田様:
システム設定に関わる領域は情報システム部門にお願いすることもありましたが、基本的には経理部の2名体制で導入作業にあたりました。通常業務と並行する形でしたのでもちろん大変ではありましたが、試行錯誤を重ねながら取り組んでいきました。一番苦労したのはマスタ設計です。ただデータを入れて終わりではなく、その後のメンテナンスのことを踏まえ、どのマスタのどの項目を変更したらどう変わるのかしっかり理解して進める必要がありました。
森様:
マスタ設計には1年程かかったと思います。導入準備中に「HUE」のバージョンアップが重なったことは大変でしたが、システムが業務に柔軟に対応できるようにするためにも、マスタの細かな設計は不可欠でした。
【成功のカギ】“自由度の高さ”を使いこなす理解と工夫
―導入を進める中で、あらためて感じた「HUE」の特長はございますか?
志田様:
他社の方とお話をする機会があり、改めて感じたのは、「やはりマスタをしっかり理解していることが非常に重要だ」ということです。動作の仕組みが分からないままでは、システムを使いこなすことはできません。でもマスタを理解していれば、「こうしたい」という自分たちのイメージ通りに設定ができるようになり、さらに「この条件も加えたい」といった発想にもつながります。
「HUE」は自由度が高いからこそ、こちらの「こうしたい」というイメージをWAPに伝えることで、それに応じた対応が可能になるという点は非常に大きなメリットです。
【効果】固定資産棚卸準備作業は数日から1〜2時間へ。現場の評価も上々
―「HUE」導入後の利用範囲や利用状況、業務の変化についてお聞かせください。
志田様:
最も導入効果を感じたのは固定資産管理(HUE Asset)です。資産の履歴を追ったり、画像付きで管理できるようになり、以前のシステムよりも管理がしやすくなりました。
また、条件を一度設定するだけで、自動で資産リストを抽出し、担当者に振り分けることができるので、1~2時間で準備作業を終えられるようになりました。棚卸結果は固定資産管理に直接連携でき、読み込んだら自動的に固定資産台帳に反映されます。経理部が棚卸準備に掛けていた作業時間が、「HUE」を使うことで大幅に削減することができ、とても助かっています。棚卸作業後も、各部門が自分たちの持つ資産を必要な時に確認できるので現場からも好評です。
―2023年から棚卸管理アプリも導入いただいています。現在の利用状況はいかがでしょうか?
志田様:
今ではAndroidにも対応するようになり、使用範囲は導入直後より広がったと思います。スマートデバイスではなくPCで使うことが多いのですが、棚卸管理画面のバーコードをタブレット等のスマートデバイスで読み込むことで、スムーズに棚卸作業を進めることができ、修正した資産情報もリアルタイムでシステムに反映することができます。誰が棚卸を担当していたかが履歴として残るので、照会する際に問い合わせがしやすくなりました。
―インボイス制度など法改正による影響はいかがでしたか?
志田様:
2023年に「HUE」にインボイス制度対応機能が追加され、電子領収書が保存できるようになりました。請求書のフォーマット変更も、変更する素材のようなものはもうすべて準備していただいていたので、新たに計算式等を組み込む必要もなくスムーズに移行できました。電子帳簿保存法のような法改正があっても、こちらからなにかを要望する必要はなく、システム自体で随時対応されていくので、あまり考えなくて良いといいますか、楽になったと思います。
—総勘定元帳では多次元残高照会の機能もご活用いただいているということですが、使い心地はいかがでしょうか?
志田様:
多次元残高照会は、各部署の担当者が自分たちの出力しやすい条件を選んで保存することができ、都度設定して出力する必要がなくなります。例えばこの店舗だけ出力したいというような条件を保存しておけば、毎回出力できるようになる点が、現場からも使いやすいと聞いています。また、総勘定元帳だけでなく、賃借対照表や試算表等が同じ画面で簡単に切り替えて見ることができる点もよいですね。以前はメニューから遷移して照会していましたが、便利になりました。
【今後の展望】さらなる電子化と、新基準対応への期待
―HUEの活用に関して展望やWAPへの要望等がありましたらお聞かせください。
志田様:
今後の展望としては、ワークフローの電子化は実現したいと思っています。そのためには人事情報のマスタの自動更新が課題なので、随時進めていきたいです。新リース会計基準に対応するリース会計についても、対応機能がせっかく「HUE」に備わっているので、それもしっかり使って活用していきたいなと思います。
森様:
当社が進化と成長をしている会社であるがゆえ、どうしても変化が多く、マスタの手動修正や、計算式の組み直しも発生してしまっています。ですので、他社さんよりもメンテナンスに時間がかかったり、まだまだ「HUE」を活かしきれていないところがあったりするのかなと思います。今後も設計部分含めて、WAPのサポートを期待しています。
【メッセージ】「無理にシステムに合わせる」だけではなく、「業務に合う」仕組みを
―HUEの導入を検討している企業様へ、メッセージをお願いします。
志田様:
システムの動作を理解し、マスタを自分たちで触れるようになることで、より自社に合った使い方ができます。アドオンで開発しなくても、標準機能の自由度が高いからこそ、自分たちの思い通りに設計できるのが「HUE」の魅力です。
森様:
WAPとのコミュニケーションは、隔週で打ち合わせ機会があり、何かあれば都度相談させていただけていますし、法改正等々も対応いただいています。そういった部分においても、今まで通りサポートを継続いただきたいということが、私たちからWAPに期待することです。
※本記事は2025年6月の内容です