【完全版】ERPとは?歴史から選定のポイントまでを徹底解説!
システムの検討や導入を行う際に、ERPという言葉を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。本記事では、ERPが具体的にどのようなものを指しているのか、その定義から目的、実際に選定する際に注意するべきポイントまで網羅して解説します。
目次
ERPとは?
ERPを利用する目的や種類を説明する前に、そもそもERPとは何なのか、その歴史にも触れながら説明します。
1.ERPの定義
ERPとは「Enterprise Resource Planning(企業投資計画)」の略称で、企業の業務に関わるヒト、モノ、カネといった情報を一元管理する仕組みのことです。
一元的に業務データを管理することで、管理業務を効率化するとともに、経営判断を行うためのデータ活用も実現することが可能となります。
ERPを活用することで、個別管理により発生する煩雑な管理業務や、データの散在によって正しく経営状況を把握できないといった事態を防ぐことが期待されます。
2.ERPの歴史
このように企業の業務改善が期待されるERPですが、日本ではいつ頃から使われるようになったのでしょうか。その歴史についても簡単にご紹介します。
世界でERPが最初に登場したのは1973年のことです。ドイツに本社を置くSAP社がメインフレーム上で稼働する「R/1」をリリースしました。
その後、1980年代から1990年代後半にかけて日本でも外国製ERPが普及していきました。当時普及が進んでいた海外のERP製品は日本の商習慣に合わないこともあり、カスタマイズが前提となっていました。
そのような中、2000年代に入ると日本の商習慣を取り入れた国産のERPも普及し、大企業だけではなく、海外製品を使えていなかった中小企業まで普及が進みました。
近年では、クラウド型の製品やAI、IoT等の新しい技術の活用も進んでいて、より利便性が高い製品が多く出回るようになっています。
ERPの歴史について、簡単にご紹介しましたがより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:世界初のERP誕生から49年、歴史から紐解くERPの今後は?
ERPを利用する目的
業務の効率化やデータ活用といったことが実現できるERPですが、具体的に何を目指して使われるのかいくつか目的をご紹介します。
1.統合管理による業務の効率化
まずは、1つ目の目的としてデータの統合管理による業務の効率化が挙げられます。
ERPを使わず、個別のソリューションやExcelを利用して管理を行っている場合、個々のソリューションで二重入力をしなければならなかったり、データの不整合が発生し、そのチェックに時間を要するといった問題が発生します。
ERPを利用して業務を1つの基盤で管理することで、入力の手間を最小限にしながら、整合性の取れたデータを利用することが可能となり、効率的に業務を遂行することができます。
2.データの集約による可視化
2つ目の目的としては、データを可視化することが可能となる点があります。
ERPを利用せずに管理をしていると、業務で利用するデータが個別のソリューションやファイル等に散在して、見たいデータをすぐに見れず、データを集めるのに非常に手間がかかってしまいます。
ERPを利用することで、業務データが1つの基盤に集約されるため、見たいデータをすぐに見ることができるようになります。これによって、データの活用や分析、適切な経営判断を行うことが可能となります。
また、最近ではDXを推進するためにERPを導入したり、入れ替えたりするといった事例も増えてきています。ERPを活用したDX推進のポイントについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:ERPを活用したDX推進のポイント!効果を最大化するために必要な視点を解説
ERPの種類
上述のように、業務の効率化やデータの可視化が期待されるERPですが、製品としてはどのようなものがあるのでしょうか。企業が必要とする基幹業務毎に様々なソリューションが存在します。以下に代表的な製品をご紹介します。
〇会計領域の製品:「財務会計」「管理会計」「債権債務」「購買管理」「資金管理」等
〇サプライチェーン領域の製品:「生産管理」「在庫管理」「販売管理」「原価管理」等
〇人事領域の製品:「給与管理」「勤怠管理」「労務管理」「採用管理」等
特定の業務領域のみを扱っているというベンダーもあるため、製品を見る際には自社のスコープとベンダーの製品ラインナップが合っているかを、まずは確認する必要があります。
また、最近では特定の業務領域を扱うSaaS製品を組み合わせて利用する企業も増えています。例えば、ERPパッケージで対応が可能な業務領域についてはそちらで対応をして、機能が不足したり、そのパッケージ製品が得意としていない領域については、個別のソリューションを入れるという構築が行えます。
ERPパッケージを可能な限り利用して、業務を実現することでシステムをスリム化しつつ、個別の業務については柔軟に実現していくことができます。
このようなシステム構成の考え方は、「ポストモダンERP」と呼ばれていて、最近のトレンドとなっている考え方でもあります。
ERPを選定する際の注意点
では、このように様々な選択肢があるERPについて、実際に選定を行う際にはどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。選定の際に注意するべきポイントについて解説します。
1.目的を明確にする
まずは、ERPを導入する軸となる目的を明確にしましょう。例えば、業務の効率化、コストの削減やDXの推進等、何をやりたいのかを明確にする必要があります。
ERPの選定では、関わる部門や人が多いため、当初やろうとしていたことがぶれるといったことが多く発生します。
組織間での意見の相違や予算の問題等、様々な要因があります。結果として、費用が安いもので妥協して投資をしたのに何も実現できなかったというケースも多いです。
そうならないために、軸となる目的を明確に見定めてから、それを実現していくという視点で検討を進めましょう。
2.費用を正しく計算する
ERPには、製品自体の費用だけではなく、導入支援やサポート、アドオン開発、システムを構築するためのインフラ等様々な費用が発生します。
また、運用を行っていくための保守サポートや制度改正に対応するための追加開発等、長い時間をかけてコストが発生してきます。
このように、費用が様々な要素で構成されていて、かつ中長期的に発生するため、見積もりを行う際には注意が必要です。
例えば、製品自体は安いけれども、アドオンを前提とした製品となっていてトータル費用で見ると高額になってしまうケースや、法改正や制度改正への対応に膨大な費用がかかってしまうといったことも発生します。
そうならないためにも、費用の計算を行う際には、必要な要素が漏れていないかという点と中長期的に発生するコストを加味できているかという点に注意しましょう。
中長期的なコストの計算方法については以下の記事もご参照ください。
関連記事:ERPにおけるROI算出のポイント!投資対効果を明確にする方法を解説
3.目的に合った製品を選ぶ
導入目的に沿った製品を選ぶようにしましょう。例えば、グローバル拠点を含めた全社的な業務の最適化を図るのであれば、海外拠点の管理まで想定した製品を選択する必要があります。
そうではなくて、例えば「購買管理」や「資産管理」等、特定領域の業務を最適化するのであれば、その領域に特化した製品を選ぶ必要があります。
ここまで、選定のポイントについていくつかご紹介してきましたが、より詳しくお知りになりたい方は以下の記事もご参照ください。
関連記事:効果を最大化するERP導入を実現!ERP選定のポイントを解説
効率的なERPの情報収集を
ここまで、ERPの基本情報から選定におけるポイントまで解説しました。
昨今、SaaS製品を初めとして様々なソリューションが世の中に出回っていますが、自社の目的やかかる費用を正確に見定めて選定を行うようにしましょう。
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