世界初のERP誕生から半世紀 ~ 歴史から紐解くERPの今後は?

世界初のERP誕生から半世紀 ~ 歴史から紐解くERPの今後は?

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世界各国の企業に導入され、経営や各基幹業務を支えている、ERP(Enterprise Resource Planning)は1973年にドイツで誕生しました。
海外で生まれたERPはどのように日本に普及してきたのでしょうか?
また、ERP誕生から約半世紀が経過した現在でも、常に新しい技術やトレンドが組み込まれ、進化が続いています。
ERPの今後はどうなっていくのでしょうか?
本記事では、ERPの誕生から日本に普及するまでの歴史と、最近のトレンドまで詳しく解説します。

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世界最初のERPの誕生

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1964年:最初の商用メインフレーム「IBM System/360」が登場

ERPが生まれる前、企業の業務を支えていたシステムとはどのようなものだったのでしょうか?

1960年代から企業の業務にコンピューターが利用されていましたが、当時、企業の基幹業務を支えていたのは大型コンピューターである「商用メインフレーム」でした。
商用メインフレームの起源は、ベースとなった「IBM System/360」がリリースされた1964年まで遡ります。

それ以前のコンピューターシステムは、利用目的が定まっている特注品として構築されていました。
「IBM System/360」の登場後は、「IBM System/360」をベースに後からソフトウェアを構築する手法が広まり、日本においても日本電気株式会社や富士通株式会社などの各ベンダーの独自技術により、この基盤をベースに後からソフトウェアを構築する手法が広まり、構築されたシステムが企業の基幹業務を支えました。

中規模コンピューターシステム「AS/400」が登場

「IBM System/360」の後継として、IBM社が中小型のコンピューターシステム「IBM AS/400」を開発しました。「AS/400」は、メインフレーム用のリレーショナルデータベース管理システムである「DB2」を内蔵しており、DB2は初めてSQLを採用したと言われています。導入や運用に役立つツールも充実しており、中規模のシステム運用に適したシステムでした。

大型コンピューターシステムと比較して運用・管理が容易になり、コストも膨らまない「AS/400」は、必ずしも手厚いシステム部門の体制を構築できるわけではない中小企業や、中堅企業に広く普及しました。
日本においては「オフコン(オフィスコンピューター)」と呼ばれ、現在までに「AS/400」「eServer i Series」「System i」「Power Systems」と名称は変わっていますが、一連のシリーズを指して「AS/400」という名称で親しまれています。

しかし、コンピューターシステムを導入した企業では、多くの場合、業務の負荷が高い業務から導入が進み、部門や業務内容ごとに異なる独自の設計で構築していました。

その結果、システム間のデータ連携やデータの整合性が困難な状態となり、各業務で共通利用するマスタの整合性がとれない、各業務のデータが揃うまでに時間がかかり、企業全体の収益が見えにくいといった問題が生じました。それらの問題を解決したのがERPです。

1973年:ドイツで世界最初のERP「SAP R/1」がリリース

世界最初のERPは、ドイツで誕生しました。
1973年にSAP社がリリースした、メインフレーム上で稼働する「R/1」が世界初のERPです。

ERPは、製造業において普及していた資材管理で生産を計画する手法である「MRP(Material Resource Planning)」を発展させ、会計や在庫、資産等の管理といった、企業の基幹業務全体をシステム化の対象とする考え方で開発されました。

  

日本国内でERPが普及したのはいつ頃?

「R/1」の誕生から約20年後にSAPジャパンが設立

ドイツで誕生したERPですが、どのように日本で普及したのでしょうか?
日本においては、一種のブームのような形でERPの普及が加速し、1992年にSAP社の日本法人であるSAPジャパンが設立されました。

1980年~90年代後半にかけて日本でERPが普及

ERPが日本で加速的に普及した背景としては、「BPR(Business Process Re-engineering)」という経営コンセプトが脚光を浴びたことが挙げられます。

BPRとは、既存の業務内容、業務フロー、組織構造、ビジネスルールなどを抜本的に改革し、リエンジニアリング(再構築)することで業務効率や生産性を向上させるという手法です。BPRを実現するシステムとしてERPが注目され、導入が進みました。

当時の日本企業は世界市場を席捲しており、資金余剰の一方で、人手不足のような状態でした。ITには人手不足を補うための業務効率の向上が求められ、システムにどれほどのコストがかかるかはあまり重視されておらず、「予算に余裕があるので、ITに投資しよう」と考える企業が多かったのが実状でした。

さらに1990年代後半には、グローバル化の波に伴い、日本の会計制度を国際標準に近づけるため、新しい会計基準を導入する改革、いわゆる「会計ビックバン」が進みました。

この一連の改正による影響は企業に重大なインパクトを与えましたが、基幹業務を統合し改革する仕組みとしてERPが注目され、多くの日本企業が国際財務報告基準(IFRS)への対応に向けて会計処理や業績報告の機能を搭載したERPを導入しました。

このように日本でもERPが注目され、導入が進められましたが、当時はERPの導入に成功した企業の数は限られていました。

関連記事:【大手企業向け】ERPを徹底比較!種類や特徴をわかりやすく解説

 

なぜ国産のERPが生まれたのか?

国産ERPが求められた理由

それでは、なぜ日本企業の多くはERPの導入に成功しなかったのでしょうか。
その理由は日本企業の業務における「独特の商習慣」に対し、海外製のERPではミスマッチが生じたことにあります。

日本では、例えば掛け取引や取引先との力関係に応じた支払条件といった、独自の商習慣が存在します。海外製のERPを日本企業の業務に合わせるためには、アドオン開発によってカスタマイズしなければならず、コストが膨大なものになりました。
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2000年代:国産ERPの増加

2000年代になると、日本独自の商習慣にも対応した、国産ERPを含む数多くの製品がリリースされるようになります。
例えば、基幹業務システムやERP導入実績がある企業13社が集結し、コンソーシアム方式で開発された「GRANDIT(グランディット)」や、ワークフローシステムである「intra-mart」をベースとして開発された「Biz∫(ビズインテグラル)」などの国産ERPが登場しました。

国産ERPの登場により、日本独自の商習慣に合わせるためにアドオンやカスタマイズを重ねてコストが膨らむという問題は解消され、大企業だけでなく、外資系パッケージを導入することができていなかった中小企業でも国産ERPの導入が進みました。

しかし、日本の商習慣に対応した国産ERPの登場以降も、より複雑な日本の大手企業で求められる要件や、業種・業態によって特有の要件を、すべて網羅して標準機能として実装することは難しく、アドオンやカスタマイズからの完全な脱却は実現されていないということが実態としてありました。

 

「標準機能」だけで挑んだワークスアプリケーションズの試み

実現されていなかったアドオンやカスタマイズからの脱却を、標準機能だけで実現しようと挑戦し続けたのは、株式会社ワークスアプリケーションズです。

ワークスアプリケーションズは、日本で初めて国内大手企業向けのERPパッケージシステムの開発に乗り出し、あらゆる業種・業界の要件を「標準機能」に吸収して開発することをコンセプトとしています。

アドオンやカスタマイズによって、海外のパッケージ製品を日本企業特有の文化や商習慣に合わせようと、多額のコストをかけていた日本の大手企業の当時の状況は、パッケージ製品で本来目指すべき情報投資効率の向上とは相反するものでした。日本の情報投資効率を上げるためには、日本の大手企業が追加開発なしに使えるERPパッケージの開発が必要だという強い想いからワークスアプリケーションズの事業構想は生まれました。

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「ノーカスタマイズ」をコンセプトに開発したERPは、様々な業種・業態の企業における商習慣やトレンドの変化を網羅した上で、標準機能に吸収して開発しているため、高い業務適合率を実現しています。

人事領域から始まった事業ですが、現在は会計領域やサプライチェーン領域の製品も開発し、多くの日本企業で採用され、システム投資効果を高めています。

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ERPの将来、どうなっていく?

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技術の進化

近年では、クラウドコンピューティングの技術も普及し、ネットワークを介して手軽にベンダーが用意したシステムやアプリケーションを利用できるようになりました。ERPもクラウド型の製品が数多く提供されています。

サーバーやミドルウェアなどを自社で用意・運用する従来のオンプレミス型のERPと比較すると、手軽に利用できるクラウド型のERPは、総所有コストを圧縮できるという点もメリットとして挙げられています。

クラウド型ERP導入のメリットを知りたい方はこちら:ERPは本当にクラウドにすべき?よく聞くメリットを徹底検証!

また、AIやIoT技術によるERPの進化にも期待できます。
例えば、AIが手書きの文字を解析して申請データを作成したり、技術者やオペレーターなど人が対応していた問い合わせについても、人工知能技術を取り入れたチャットボットで一次対応ができるといったユースケースも数多く存在します。

このように、新しい技術によってERPが実現できることの範囲は大きく広がっていきます。

 

「ポストモダンERP」という次世代のERPのあり方

クラウド型のいわゆるSaaSサービスも数多く提供されている近年では、ERPのあり方も見直されています。

ガートナー社は、次世代のERP像として、従来のERPがカバーしている広範囲な業務を分解し、ERPとSaaSサービスを含む複数の業務アプリケーションを、独立性を保って相互連携するあり方を「ポストモダンERP」と定義しました。

従来のERPは、全ての基幹業務を網羅して統合することに重きがおかれていました。そうした一枚岩のような状態から、ERPの利用範囲を絞ってスリム化しつつ、個別業務に最適なSaaSサービスなどのソリューションを組み合わせて最適化を図ろうという考え方も広まりつつあります。
 

SAP 2025年の崖

さらに数年後には、数多くの日本企業が導入しているSAP社製品の保守サポート切れも発表されています。

保守期限が延長されたことで、「SAP 2025年問題」や「SAP 2027年問題」とも言われていますが、SAP/HANAに移行するのか、先に述べたポストモダンERPのような形で構築するのかなど、多くの企業が選択の岐路に立っています。

また、製品の選択肢だけでなく、保守サービスについても選択肢が広がっています。

従来、SAP社製品の保守は構築したベンダーが担当することが一般的でした。しかし、保守サポートの期限が過ぎた後も、第三者が提供する保守サポートに切り替えて継続利用する「第三者保守」という考え方もメジャーになりつつあります。例えば、Rimini Street社やSpinnaker Support社が第三者保守サービスを展開しています。

このように、「SAP 2025年の崖」に対しては、製品そして保守といったところで従来の仕組みを見直す時期にあります。

 

時代と共に変わりゆくトレンドに低コストで追従できるERPを

このように、今後も技術の変化やトレンドの変化など、企業をとりまく様々な変化が起こることが予想されます。
そのような中で、低コストで変化に追従し、自社の業務を支え続けられるERPを導入することが重要です。

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