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南海電気鉄道株式会社
南海電鉄がHUEデジタルインボイス導入とHUEアップグレードで、変化に対応し続ける経営基盤を構築
~難易度の高い並行プロジェクトをやり遂げ、約2万枚のペーパーレス化を実現~
南海電気鉄道株式会社様は、1885年の創業以来、民営鉄道のパイオニアとして、鉄道事業を中核に地域とともに成長を遂げてこられました。先進的で話題性のある事業を次々と展開する進取の気性と企業姿勢は南海グループの独自性であり、それを活かした沿線価値の向上に取り組んでおられます。
同社は2025年2月、DX推進を加速し変化に強い経営基盤の構築を目指し、クラウド請求書送受信サービス「HUEデジタルインボイス(以下 HUE DI)」を導入。あわせて、2015年から活用していたERPパッケージ「HUE Classicシリーズ(以下 HUE Classic)」を「HUE ACシリーズ(以下 HUE)」にアップグレードし、7製品を稼働しました。
■ 今回稼働対象となった7製品
クラウド請求書送受信サービス「HUEデジタルインボイス」
財務会計・管理会計システム「HUE Financials & Strategy」
債権・債務管理システム「HUE Accounts Payable/Receivable」
固定資産管理システム「HUE Asset」
財務・資金管理システム「HUE Treasury」
購買管理システム「HUE Purchase」
証憑電子データ管理サービス「HUE EBM」
本記事では、HUE DI導入とHUEへのアップグレードの背景から現在の活用状況、今後の展望についてお伺いした内容をご紹介します。

インタビュー参加者:
南海電気鉄道株式会社 財務経理部 課長 兼 南海マネジメントサービス株式会社
代表取締役社長 浦田 尚志 様(写真中央)
南海マネジメントサービス株式会社 南海グループ経理サービス部
課長 水谷 雄哉 様(写真左)
南海システムソリューションズ株式会社
足立 一美 様(写真右)
原田 美智子 様(Web)
中村 真由美 様(Web)
【課題・背景】法改正・DX対応を見据え、変化に強い基盤づくりを推進
―2015年からHUE Classicをご利用いただいてきた中で、今回のHUE DI導入とHUEへのアップグレードに至った背景についてお聞かせください。
浦田様:
HUE Classicは導入以降問題なく使用できていましたが、導入から9年が経過し、法改正やDX推進など、経理・会計を取り巻く環境は大きく変化しました。社内でもペーパーレス化推進の声が高まり、電子承認を前提とした仕組みづくりが求められていました。また、HUEを通じてシステムに蓄積されたデータを活用し、伝票業務の効率化を図りたいという思いもありました。検討の段階では他社システムも比較しましたが、HUEは標準機能で実現できる範囲が広く将来的な拡張性にも優れていると判断し、HUEへのアップグレードを決断しました。
水谷様:
ペーパーレス化を推進する上で、単にファイルを添付できるだけでなく、申請・承認画面の見やすさやチェック業務のしやすさ、AI-OCRなどの技術を重視しました。HUE DIはUIの優位性に加え、2023年にリリースされた新しいサービスだからこその柔軟性にも魅力を感じました。
浦田様:
WAPから「スピード感を持って改修を進める」との言葉をいただけたことも、最終的な決め手となりました。
水谷様:
また、この機にワークフローを刷新し、グループのシェアードサービスと連携させたいという新しい挑戦にも取り組みました。WAPも私たちの声に耳を傾け、提案だけでなく開発担当者との直接対話の場も設けてくれたことで、導入は順調に進んでいきました。
【導入成功のカギ】柔軟な対応で期日内稼働を実現
―7製品を導入する難易度の高い導入プロジェクトとなりましたが、プロジェクトの体制や進め方、苦労された点についてお聞かせください。
水谷様:
プロジェクトの体制としては、前回のシステム導入を経験した5人が再びプロジェクトに参加し、一定の経験値は持ち合わせている状態でした。メンバーを製品ごとにグループ分けし、グループ単位でコミュニケーションを図りました。各グループの進捗は担当レベルで週1回すり合わせて、全体的な進捗共有や報告は月1回の頻度で進行しました。
原田様:
並行してHUE DI導入とHUEアップグレードを進める中で、「せっかくの機会だから、今のシステムを改善したい」という意見もあり、自然と検討範囲が広がっていきました。途中で「このままではスケジュールに間に合わない」と判断し、まずは稼働を最優先に据えて進めました。
中村様:
プロジェクトを進める中で、要件定義や設定段階で課題が出てきましたが、WAPと協力して体制を強化し、一つひとつの課題に対応していきました。特に後半は毎日のようにコミュニケーションを取り、認識のずれが起きないよう徹底しました。
浦田様:
スケジュール上の壁に直面した時期もありましたが、必要な機能レベルを明確に定義し、稼働後に徐々に見直す方針に切り替えました。稼働時点で完璧を求めず、フェーズを切り離して取り組んだことが、設定した期限までの稼働につながったと思います。
【効果】HUE DIで年間約2万枚もの請求書のペーパーレス化を実現
―実際に導入をされ、実感されている変化や効果はございますか?
水谷様:
年間約2万枚もの請求書のペーパーレス化へとつながりました。書類の滞留や紙の綴じ込み作業もなくなり、一定の効果を実感しています。電子ワークフロー内で伝票を検索できるため、以前のように問い合わせを受けて担当者が伝票を慌てて探す場面を見かけることはなくなりました。
浦田様:
導入効果として特に大きいのは、HUE DIとシェアードサービスを組み合わせた運用です。これまでは各部門で伝票を作成していましたが、人の入れ替わりによる誤処理が増え、修正のやりとりに多くの時間を費やしていました。HUE DIとシェアードサービスの組み合わせで、各部門が請求書をアップロードするだけでシェアードサービスに回り、伝票を作成することができるので、効率的に処理できるようになりました。

水谷様:
OCRの入力制御機能も大きな効果をもたらしています。入力ミスや漏れを検知してアラートが出るため、チェックの負担が軽減しました。また、証憑が添付されていることで承認者も確認しやすく、承認作業がスムーズになったと社内からも好評です。ほかにも、伝票処理のオンライン化により、シェアードサービスチームでは、週3日のテレワークも可能になりました。これまで紙ベースの請求書を直接受け取る必要がありましたが、HUE DIを通じて電子アップロードしてもらえるようになったおかげです。これを機に、今後さらに柔軟な働き方を進めていきたいと思います。
原田様:
HUEへのアップグレードにより、会計システムと購買管理システムが統合されました。以前はシステムごとにマスタ登録を担当分けしていましたが、その必要がなくなり、業務効率化や工数削減につながっています。アップグレード直後の4月に組織改編がありましたが、従来4人で行っていた作業を2人で対応できるほどスムーズに進められました。以前は、決算期に丸二日ほども運用制限をかけて必死に作業していましたが、ようやくその負担から解放されました。
【今後の展望】HUEとともに、進化し続ける基盤を目指して
―今後の展望や要望がございましたらお聞かせください。
水谷様:
目覚ましいAIの進化を踏まえ、経理業務でも積極的に活用していく必要性を感じています。AI活用を自社だけで一から取り組むにはまだハードルが高いため、HUEの標準機能として使いやすい形で提供されることを期待しています。旬を逃さず、新しい技術を現場で活用していけるよう、HUEの進化をうまく取り入れていきたいと考えています。
浦田様:
シェアードサービス推進やPeppol対応を視野に入れ、今後もHUE DIを中心に活用領域を広げていきたいと考えています。鉄道業界はさまざまな業種を扱っているので、同じ摘要でも科目が異なるなどルール化が難しい領域です。だからこそ、今後は自動化できる領域を広げながら、効率的に業務を行う仕組みを作っていきたいと考えています。
【メッセージ】理想形にとらわれず、着実な一歩から
―同じような課題を抱かれている企業様や導入を検討されている企業様へメッセージをお願いします。
浦田様:
最終的にはAIを活用して仕訳を完全自動化することを目指していますが、理想を追いすぎると一歩目が踏み出せません。まずはここからやっていこうと、着実な一歩を踏み出すことができれば、次の展開がどんどん広がっていきます。HUEはユーザーが活用すればするほど成長し、より良いものに進化していくと思います。そうなれば私たちにとってもありがたいことですので、ぜひお願いします!
※本記事は2025年8月の内容です