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2026/03/25

経理現場で本当に使えるAIとは? HUEの「AI申請書レビュー」で大切にしたこと

AI活用への期待が高まる一方で、経理業務の現場では「複雑な社内ルールや運用に、AIは本当に対応できるのか」と不安を感じる声も少なくありません。この記事では、HUEのAI機能「AI申請書レビュー」を題材に、経理現場で本当に使えるAIとは何か、そしてその実現に向けて私たちが大切にしたことをご紹介します。

目次

    1. 経理の「目」を代替する「AI申請書レビュー」機能

    HUE(ヒュー)では、これまでもAI機能を順次標準搭載してきました。2026年1月には、大手企業の経理業務において多くの工数を割かれるプロセスの一つである、経費精算や支払依頼などの各種申請チェックをサポートする「AI申請書レビュー」をリリースしています。

    今回のアップデートで突き詰めたのは、ルールベースのチェックに留まらず、AIが「この申請は妥当か?」という定性的な判断を伴う領域にまで踏み込んだ点にあります。AIが添付された領収書と入力内容を照らし合わせ、品目の矛盾や、社内規定に照らした情報の不足を判定。従来のルールベースでは不可能だった「文脈の理解」によって、具体的な改善アドバイスまで提示します。これにより、申請者は迷わず正しい申請ができ、承認者は「全件を疑ってかかる」心理的負担からも解放されます。

    【AIマスター自動入力】 入力ミスや不備を減らす「入力」サポート
    経費申請書に入力された他の項目の内容や申請者の情報をもとに、経費タイプなどのマスタ項目に、確度の高い候補を自動入力したり、選択肢を提示する機能です。

    AIマスター自動入力画面キャプチャ

    【AI申請書チェック】 不備や矛盾を見抜く「確認(チェック)」サポート
    経費申請書に入力された文言や、添付した領収書の内容を読み取り、項目単体での妥当性や、申請書内の他の項目との整合性をチェックし、改善のアドバイスを提示する機能です。

    AI申請書チェック画面キャプチャ

    参考:HUE、経理財務の申請書をレビューするAI機能を提供(プレスリリース)

    2. AIは、実務で本当に使えるのか? ―実装の現場で大切にしたこと

    AIを導入する際、「実務で本当に使えるのか」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。こうした現場の懸念に対し、「AI申請書レビュー」の開発者にインタビューを行い、どのような考えで製品を形にしていったのか、その実装における想いをご紹介します。

    ー 既存のシステムチェックがあるのに、なぜ「AI」が必要なのか?

    従来のシステムチェックは、空欄の有無や数値の範囲など、あらかじめ決められた「ルール」に基づくものでした。
    しかし、
    実務で本当に苦労するのは、ルール化しきれない「定性的な判断」を伴う領域です。
    たとえば、ルールベースのチェックでは、項目ごとに「文字が入っているか」は確認できても、その中身が正しいかという整合性までは判断できず、不備を見逃してしまっていました。

    そこでHUEのAI機能では、プロンプトによって「定性的なチェック」も行える仕組みを整えました。
    具体的には、「添付された領収書」と「入力された申請内容」をAIが照らし合わせ、品目の矛盾がないか、あるいは社内規定に照らして情報が不足していないかを判定します。

    人が無意識に行っていた「文脈の理解」をAIがサポートすることで、これまで見逃していた不備を検知し、差し戻し作業の削減と組織全体の意思決定スピードの向上を目指しています。 

    「自社独自のルール」をAIにどう守らせるのか?

    AIは一般知識をベースにするため、そのままでは自社特有のルールを見逃す可能性があります。
    たとえば、お弁当代が一般的には「食費」と判断される場合でも、食品メーカーがスーパーでお惣菜を購入した場合は、市場調査のための「調査研究費」として処理されるケースがあります。
    従来のAIでは、こうした個別の運用に合わせた判断を下すことが難しく、結局人が全件確認せざるを得ませんでした。

    そこでHUEのAI機能では、AIへの指示書である「プロンプト」を企業ごとに調整できる仕組みにしました。
    具体的には、
    プロンプトに自社の規定を反映させることで、店名や摘要の文言から自社独自の運用に則った「経費タイプ」を推測し、その「自社のルール」を直接教育することが可能です。

    「この店は食費」「この文言は会議費」といった膨大な組み合わせを手動で定義し続けるのではなく、プロンプトで「自社のルール」を直接教え込むことで、実務上の正確性を確保しています。

    AIの「間違い」をどうコントロールし、ガバナンスを担保するか?

    AIは万能ではなく、時には「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」をつくリスクもあります。
    だからこそ、
    AIをブラックボックスにせず、人が最終判断を下すための根拠を提示させることにこだわりました。

    HUEのAI機能では、AIが判定したスコアと、その根拠となる「講評」を承認者コメントとして自動で残します。
    従来のルールベースのチェックでは「OKかNGか」の二択でしたが、AIは「〇〇という理由でリスクが懸念される」といった補足情報を付記します。
    人はこの講評を見て、「このケースなら許容範囲だ」と判断し、そのまま処理を進めることも可能です。
    AIの判断プロセスを可視化し、常に人が手綱を握れる「ログ」を残すことで、高いガバナンスと現場の信頼感を両立させています。

    ー AIを導入して、結局どのような効率化が期待できるのか?

    単に「作業が何分短縮されるか」といった数値上の自動化だけではなく、実務のオペレーションそのものを変えることを重視しています。

    具体的には、まず申請者が提出する前の段階で、AIが「領収書との不整合」などの不備を指摘します。
    これにより、差し戻しの往復にかかる無駄なコミュニケーションコストを削減し、不備のある申請そのものを減らすことを目指しています。

    そして、承認プロセスにおいて最大の実務効果と考えているのが、承認者が「全件を疑ってかかる」という心理的負担からの解放です。
    AIが「講評」を添えてリスク判定を行うことで、承認者はすべての申請を同じ熱量で見定める必要がなくなります。

    AIが「要確認」と判断したリスクの高い案件にのみ人が集中し、低リスクな案件は確認を簡略化する。
    この
    「チェックのメリハリ」をつけることで、ガバナンスを維持しながら、実務で本当に機能する効率化を実現できると考えています。

    3. 「実務に即した機能」の先に描くAIの姿

    実務への定着を第一に考えたとき、長年運用してきた社内のワークフローを根本から変えるのは現実的ではありません。HUEのAI開発では、企業の既存業務を尊重しながら、いかにスムーズにテクノロジーを融合させるかという「実務に即した機能」を重視しています。

    最初のステップでは、AIに最初から100%の精度を求めるのではなく、あえて「新しく配属された新人メンバー」のように捉え、まずは「AI申請書レビュー」で人がAIの講評をチェックして自社の感覚を教えていくことが重要だと考えています。

    そして次のステップとして、2026年7月にはAI自らが判断し実務を担う「AI承認者」の提供を見据えています。最初のステップを経て信頼が積み上がった段階で徐々に自動承認などの実務を任せていくことで、既存のフローを壊さず人と協調する姿こそが、HUEが考える「AIという新たなチームメンバー」のあり方です。

    こうした先にあるのが、AIの判定理由(講評)を確認し、それを「システム側の設定に還元していく」という姿です。AIがなぜ「NG」と判断したのか、その理由を見て、それまで人が運用で曖昧にしていたものを「ルールベースの設定」へと落とし込んでいく。このサイクルを繰り返すことで、最終的には「人による確認が不要な領域」を広げ、真のガバナンス強化と効率化の実現を目指していきます。


    【HUE ACについて】
    日本の大手企業特有の高度な業務要件を、標準機能で網羅する「HUE」の会計シリーズです。
    お客様の声で成長し続けることで、業種や業態を問わず幅広い業務要件に対応し、2,400社以上で導入された実績が、その信頼性と高い評価を支えています。
    今回ご紹介した「AI申請書レビュー」をはじめ、実務に即したAIテクノロジーの搭載により、経理業務のさらなる高度化を支援します。