会計 / 固定資産
今治造船株式会社
Fit to Standardを軸に、グループの会計基盤を刷新
グループ9社横断の導入プロジェクトで導いた計画通りの一斉稼働
今治造船株式会社様は、国家戦略として重要性が増す日本の造船業を支える、国内シェア1位の造船専業メーカーです。国内13の造船所で多種多様な船舶の建造・修繕を手掛け、創業から一世紀を超える実績と経験を基盤に、環境に優しく、より安全な船舶の建造に挑戦されています。
■ 今回稼働対象となった3製品
財務会計・管理会計システム「HUE Financials & Strategy」
債権・債務管理システム「HUE Accounts Payable/Receivable」
固定資産管理システム「HUE Asset」
こうした事業を支える経営基盤の刷新に向けて、個別開発によるシステムの複雑化・属人化を解消するため、ワークスアプリケーションズ(以下、WAP)のクラウドERP「HUE」を採用。グループ9社での一斉稼働を早期に実現されました。本記事では、「HUE」の導入に至った背景から、プロジェクトを着実に進めたポイント、現在の活用状況と今後の展望までをご紹介します。

インタビュー参加者:
今治造船株式会社 執行役員 丸亀経理担当 神野 稚朗 様
経理・財務本部 経理グループ長 岸添 京介 様
【課題・背景】属人化・複雑化した旧システムからの脱却
お二人のご担当業務についてお聞かせください。
神野様:
導入プロジェクトではプロジェクトマネージャを務めていました。導入当時は今治本社の経理・財務本部に在籍をしていましたが、現在は丸亀事業本部に異動しまして、執行役員としてグループの経理会計で全般的な意思決定を担いながら、丸亀と西条工場、そして海外子会社の経理を主に担当しています。
岸添様:
私は神野の下でプロジェクトリーダーを務めておりました。当時は広島工場の経理を担当していましたが、神野と入れ替わるような形で今治に転勤し、現在は本社の経理・財務本部に経理グループ長として在籍しております。
HUEを導入いただいた当時の背景や課題についてお聞かせください。
神野様:
従来の会計システムのサポート終了が、バージョンアップを行うのか、あるいは新たなシステムへとリプレイスするのかの検討を始めるきっかけとなりました。旧システムは個別開発が重なったことで構造が複雑化し、情報システム担当者のメンテナンス負荷が増大してしまい、運用自体がブラックボックス化していたことが課題でした。
加えて、インボイス制度のような法改正のたびに修正パッチを適用する必要があり、その対応には追加開発コストも時間もかかっていました。こうした状況から、バージョンアップを必要としないシステムを導入したいという声が社内で高まり、運用負荷を最適化するために新たなシステムの選定へと踏み出しました。
HUEを知ったきっかけと選定された理由についてお聞かせください。
岸添様:
HUEのことは、システム担当者と私が情報収集のために参加した展示会で知りました。まず、機能の網羅性が印象的でした。他社製品も幅広くリサーチし、最終的には6社にプレゼンテーションをしていただいて、その中からHUEを選定しました。初期設定の工数はある程度必要ではあるものの、標準機能の範囲内で何でも柔軟に対応できる“ノーカスタマイズ”というコンセプトに大きな魅力を感じました。
【導入成功のカギ】グループ横断で挑んだ刷新プロジェクト
今回、グループ9社での導入・一斉稼働となりましたが、製品選定の段階からの方針だったのでしょうか?
神野様:
はい。当社を含む今治造船グループ9社で、同じシステムを利用する方針は、製品選定の段階から決めていました。経理・会計は旧システムでも共通化ができていたものの、固定資産管理や債権管理・債務管理はシステムにばらつきがあったため、今回のリプレイスを機に効率性向上の観点からHUEへ集約することにしました。
導入プロジェクトのメンバーはどのように構成をされたのでしょうか?
神野様:
当社の経理財務本部、グループ会社の経理担当者、情報システム担当者を含めて12名で構成しました。立ち上げ時のリーダーの役割は指名制にしましたが、領域によっては担当者を公募し、課題意識を持ったメンバーに参画してもらいました。
9社ともなると、導入に際しての関係者間の認識合わせが大変だったのではないでしょうか?
岸添様:
社内の業務の進め方には個社ごとに多少の違いはありますが、グループ内の経理担当同士での交流はもともとありました。今回の導入にあたっても、しっかり意思疎通を図ることでスムーズに合意形成ができたと感じています。
メンバー間の役割分担や連携の仕方で工夫された点はありますか?
岸添様:
まず、領域別に担当を分け、それぞれにリーダーを配置しました。各リーダーと、プロジェクト全体を推進する立場の神野や私、そしてWAPとで定期的にセッションを設け、全体の方向性を随時確認しながら進めました。そこでの内容は他のメンバーにも都度共有し、認識を揃えることを意識しました。また、四半期に一度、プロジェクトの進捗を経営層へ報告し、必要に応じて意思決定を仰ぐ場があり、その時には主要メンバーが出席していました。
業務理解度の高い精鋭メンバーが揃っていたこともあり、プロジェクト進行と通常業務の両立は大変でした。そのため、次第に各所属部門の同僚たちがプロジェクトメンバーを支える形で関わるようになり、結果的にはHUEに携わる各部門のほぼ全員が参画する体制となって、グループ横断のプロジェクトとして推進することができました。
導入準備を経て、グループ各社での稼働前の説明等で何か工夫された点はありますか?
神野様:
導入プロジェクトの初期段階から、グループ会社の経理担当者にもメンバーとしてセッションに参加してもらっていました。データ移行や稼働前の操作説明の際には、私達も各社へ応援には行きましたが、担当者同士が共通の意識を持って進められていたことは大きかったと思います。
岸添様:
各社の経理担当者は人員に限りがあるため、通常業務をできるだけ止めないよう、導入内容の検討が固まった後の各社への展開を中心に担当してもらいました。それでも負荷は高かったと思いますが、各社の協力があったからこそ、順調に稼働まで進めることができました。
スケジュール通りに一斉稼働を実現できた背景には、どのような要因があったのでしょうか。
岸添様:
WAPからは最初に2026年4月稼働をご提案いただいていましたが、私共としては早期稼働を希望し、2カ月前倒しでの稼働を目指していました。固定資産領域の準備に想定より時間を要したため最終的には2026年3月となりましたが、結果として提案よりも早いタイミングで安定稼働を迎えることができました。
HUEは稼働後でも自分達で設定しながらスコープを拡大することができるため、すべてを稼働までに詰め込まず、課題の優先度を見極めて柔軟に進められたことが大きかったと思います。私共の場合、新リース会計基準への対応、過去明細のデータ移行を、稼働後に対応すると判断し、プロジェクトを適切にコントロールできたことが、一斉稼働の実現に繋がったと感じています。
【導入効果】稼働直後から実感したHUEの導入効果と安定稼働
HUE導入後の社内からの問い合わせ状況はいかがでしたか?
岸添様:
稼働後の経理担当への問い合わせはそれほど多くなかったのですが、AR(売掛金管理)に関しては経理部門以外の担当者も使用する領域なので、導入当初は社内からの問い合わせが多かったです。それは予見していたことなので、各拠点で数回説明会を実施しました。加えて、ヘビーユーザーとなる人物には重点的に教育をすることで、他のユーザーに使い方を共有してくれることも多かったため、現在までも大きなトラブルなく使用できています。
HUE導入後のご利用状況や効果についてお聞かせください。
岸添様:
旧システムはかなり大規模なアドオンカスタマイズを入れる形で無理矢理業務にフィットさせていましたが、HUEは特に追加開発が不要な“ノーカスタマイズ”であるにも関わらず、同様のパフォーマンスが稼働直後から発揮できています。これだけでも導入効果を感じています。HUEは動きも速いですし、あんなことやこんなこともできるんだと機能の多さに感心しています。
業界特有の要件への対応度はいかがでしたか?
岸添様:
造船業では、原価計算や管理会計に必要なデータを資材管理等の他システムと連携させるため、出力形式や入力項目の整合性が求められます。HUEは設定の自由度が高く、カラム数も豊富で、こうした造船業特有の要件に柔軟に対応することができました。稼働後も、データ連携に大きなトラブルはなく、本当に安定稼働ができています。
【今後の展望】Fit to Standardで見えた、今後の業務改善への期待
HUEの活用に関して展望などがありましたらお聞かせください。
神野様:
WAPとの保守サポートの定例会議を通じて、AIとHUEの相性の良さや可能性を感じています。他社の事例も参考にしながら、当社としてもAI活用に取り組んでいければと考えています。
岸添様:
せっかくなので、完全ペーパーレスを目指したいですね。将来的には、HUE ARの電子請求書サービスへの自動連携や、電帳法対応ストレージに自動で格納されるサービス(HUE EBM)を活用して実現していきたいと思います。他にも、ペーパーレス化に繋がる便利なサービスの追加や機能拡張があると嬉しいです。
システム刷新を検討される企業様に向けて、今回のご経験からのご助言やお伝えになりたいことはございますか?
神野様:
弊社は、最初の選定の段階から「システムに業務を合わせる」という方針を明確に打ち立てていました。HUEの機能を信頼して、HUEのコンセプトであるFit to Standardを軸に進めていく──その方針を貫いた結果、プロジェクトが成功したのだと思っています。
岸添様:
順調だったとはいえ、導入プロジェクトでは多少の手戻りはありました。やはり、やりたいことを明確にした上で、導入に関わっていただくWAPのコンサルタントときちんと意思疎通が取れている状態で推進していくことが重要です。伝え漏れやイメージの不一致があると手戻りを招いてしまいますので、プロジェクト全体で情報量に偏りが出ないよう注意しながら、一歩一歩丁寧に進めていくことをお勧めします。
※本記事は2026年9月の内容です