法定調書の電子申告が義務化!条件と対応方法は?
2021年1月以降の提出から、法定調書で電子申告が義務付けられる法人の要件が厳しくなりました。
しかし、既に初回の提出は終えたものの、自社が対象となるかの判別方法、対象となる場合の対応方法はあまり整理されていません。そこで、本記事では、どのような条件で電子申告の義務化が義務付けられるのかと、対応方法について解説します。
法定調書の電子申告義務化とは?
法定調書とは、所得税法や相続税法等、各種法令で提出が義務付けられている書類で、その種類は50種類以上にのぼります。毎年膨大な数の法定調書が提出されることから、官民両面の事務処理コスト・ペーパーレスを鑑みて、以前よりe-tax等による電子申告が奨励されてきました。
とはいえ、以前は種類ごとの提出枚数が1,000枚を超える場合のみ電子申告が義務づけられていたため、多くの企業・法人ではなかなか電子申告に踏み切らないケースもありました。
しかし、2021年1月以降の提出については、調書の種類ごとの提出枚数が100枚を超える場合も義務付けられるように制度が変更されています。
これにより、これまでは電子申告を行っていなかった企業においてもシステム等の対応を進めたり、電子申告を効率的に行う仕組みを模索しているのが現状です。
電子申告義務化の対象となる書類
電子申告義務化の対象となる書類は、原則的には50種類以上にのぼる法定調書のすべてです。
しかし、一般的な企業の経理部・総務部等の部門において特に影響を受けるのは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」等が主な提出対象となるかと思います。
例① 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
主にフリーランスなどの個人に業務を依頼して報酬を支払った場合に作成する調書で、年間の支払金額や源泉徴収税額を税務署に報告する書面となっています。
主に経理部等で支払の情報をまとめて作成されている場合が多いのではないかと思います。
例② 不動産の使用料等の支払調書
店舗や事業所として利用している不動産のうち、個人に対しての支払を行っている場合に作成する書式です。地方のロードサイド店等を運営している企業で、個人の地主に賃借料を支払っている場合等に作成します。こちらの書式も、経理部や総務部・店舗管理部等の方が作成しているケースが多いのではないかと思います。
電子申告義務化の対象となる書類
このように、各種法定調書で電子申告の対象となっていますが、ここでどのような条件下で電子申告が義務化されるのかを具体的に見ていきます。
条件①:調書の種類毎に前々年に100枚以上提出したもの
1つ目の条件は、調書の種類毎に100枚以上提出することです。
そのため、1つの調書で数十枚程度しか発生しなかったり、2つの種類(例えば、不動産の使用料等の支払調書と不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書)で合わせて100枚を超えるような場合は対象となりません。
また、前々年が判断の基準となるため、例えば「令和元年には90枚、令和2年には110枚提出」の場合、「令和4年は電子申告義務だが、令和3年は義務化の対象外」になります。
条件②:2021年1月以降の提出となる
2つ目の条件は、2021年の1月以降の提出となることです。これ以前の提出であれば、調書の種類毎に1,000枚以上でない限り、電子申告義務化の対象とはなりません。
そのため、先述の「前々年」の要件と合わせると、2019年1月以降に100枚以上の調書を提出していた場合に、電子申告が義務化されることとなります。
システムで電子申告を自動化する方法
最後に、電子申告を実施するにあたり、システムの活用により自動化を進める方法についてご説明します。
電子申告においては、①e-tax等で取り込める形式の申告データを作成する ②e-tax等でデータを取り込む といった2つのステップが必要です。
①e-tax等で取り込める形式の申告データを作成する
例えば不動産の使用料等の支払調書であれば、各拠点ごとの貸主への支払金額を取りまとめ、申告にあたって必要な情報を取りまとめていく作業は非常に煩雑になります。
不動産の支払調書であれば、こうした業務は賃借不動産管理システムによって自動化ができるように、システムに業務を効率的に行うことができます。
②e-tax等でデータを取り込む
情報が揃ったら、e-Taxソフト(インストール版/WEB版)を利用して、実際の電子申告を実施します。下記の2つの選択股から選ぶことができます。
①e-Taxソフト(インストール版)を利用する場合
「e-Taxソフトのダウンロードコーナー」よりソフトをインストールすることができます。インストール版では、法定調書の種類に制限なく、調書の提出が可能です。
②e-Taxソフト(WEB版)を利用する場合
「給与所得の源泉徴収票」や「不動産の使用料等の支払調書」などの9種類の法定調書については、e-Taxソフト(WEB版)を利用して、調書の提出が可能です。
e-taxソフト上では、CSVファイルの取り込みを行うことで調書の作成・提出が可能ですが、システムで作成した申告情報をe-tax等で取り込める形に成形する必要があります。
ワークスアプリケーションズの提供する大手企業向け会計システム「HUE」では、「不動産の使用料等の支払調書」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」等に関して、調書の作成やe-taxで自動取り込みできるファイル出力等が可能です。日本の税制や商習慣にマッチした不動産管理機能や支払管理機能等をご用意しておりますので、ご興味のある方は是非お問合せください。
本資料は、あらゆる業種業態に対応し、大手企業の生産性向上を実現する、国産の会計システムHUE AC(ヒュー エーシー)のサービス内容や実績について、概要を確認いただける資料です。
HUE ACのお問い合わせはこちらから