大規模な学校運営に不可欠な情報管理の一元化
―「ArielAirOne」の導入背景についてお聞かせください。
池田様:
導入以前は様々な部署で異なるポータルシステムを利用していて、新たなシステムを導入しても、積極的に活用していこうという意識の統一ができておらず、同じ組織ながら別々の方向を向いているような状態でした。
情報管理の一元化を実現するため、いくつかのグループウェアを比較し、他大学の導入事例等も参考にした上で、「ArielAirOne」なら私達の目指す姿が実現できると考え、組織全体で利用する初めてのグループウェアとして2011年に導入に至りました。
近大改革のキーマンと呼ばれ、現在は経営戦略本部長を務める世耕石弘が、すべての部署が意識を持って情報の一元管理のためにしっかり活用していこうと音頭をとったこともあり、今では教職員が日々利用する情報共有プラットフォームとして「ArielAirOne」は定着しています。
近畿大学の学生・生徒等在籍者数は、大学だけで3.4万人超、幼稚園から大学院までを含めた全体数は5.3万人超(令和4年5月現在)に及びます。学生・生徒を支える教職員は1万人近く在籍しています。大規模な学校運営を遂行していくためにも、情報の一元管理は欠かすことができない一つのステップだったと思います。
必要なタイミングで必要な情報へ、教職員業務のDX化の現状
―「ArielAirOne」の活用状況はいかがでしょうか?
池田様:
ワークフローツールと、スケジューラ―・施設管理・通達掲載・タスク管理といったグループウェア標準機能は全て活用しています。
「ArielAirOne」の特長として、柔軟なアクセス権限の機能があげられます。大きな組織だからこそ、情報漏えい等の防止といったような危機管理の観点からも必要な要素でした。○○教授のスケジュールを誰がどこまで見えていいのかというように、適切な権限を持つ者だけが必要なタイミングで必要な情報へアクセスできるようになっています。
近畿大学独自の「ArielAirOne」上のアプリケーション数も年々増えていき、2011年前半には100ほどだったものが今では8倍の800超のアプリケーションが稼働しています。申請等の決裁関連業務に関わるアプリケーションの活用によって、業務上のペーパーレス化は大きく進むことになりました。近畿大学のペーパーレス化は、教職員の間だけでなく、全国初の完全インターネット出願への移行や学費振込用Webサイト導入等、あらゆる場面で実現しています。
学内で教職員が関わる決裁のほとんどが「ArielAirOne」上で行われています。パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォン上でも確認することができるため、場所を選ぶことなく、移動中や外出先などの隙間時間も活用できるようになりました。
導入後のフォローアップ体制が非常に手厚く、リソースの利用状況の確認やサーバの保守メンテナンス、カスタムアプリの開発支援など、システムの安定稼働や業務の効率化を図るため、迅速かつ柔軟に対応していただいています。また、導入して10年以上が経過した今でも、1か月に1回のペースでミーティングを実施しています。
その他にも、グループウェアとして、スケジュールの共有、スケジュールと連動した施設の予約、タスク管理や通知の設定というようなスケジュール管理に紐づく様々な機能を活用しています。学内ではコミュニケーションツールとしてSlackを利用し始めたため、「ArielAirOne」の通知をSlackで受け取ることができる等、データ連携による更なる業務効率化にも期待しています。
近畿大学のDX化は止まらない
―今後の展開についてお聞かせください。
池田様:
近畿大学では、今後も教職員の業務のDX化を推進していきます。単なる業務のDX化ではなく、教職員が今まで以上に学生や社会に貢献する本質的な業務に集中できる環境を整えることが重要だと考えています。例えば、「ArielAirOne」上には個々のスケジュールや決裁のデータ等、多くのデータが蓄積されているので、そうしたデータを様々な場面でもっと活用していけるよう、分析機能や外部システムともデータ連携の強化が実現することを期待しています。
―本日はありがとうございました。
※本記事は2021年6月の内容です。