事例から学ぶ「Notes」移行成功の秘訣!

事例から学ぶ「Notes」移行成功の秘訣!

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1.Notesの役割

Notesは、HCLテクノロジーズ社が開発および販売している、グループウェアです。2018年12月以前は、IBMが自社ソフトウェアブランドのひとつ、ロータス製品として開発販売を行っていました。
ロータスとは、Notesのオリジナルを開発したロータスデベロップメント社の略称で、 NotesはしばしばLotus Notesと呼ばれました。Notesの黄金時代を知っている人には、そちらの方がなじみ深いかも知れません。

Notesの最初のバージョンは、1989年にリリースされましたが、大手企業でグループウェアが普及し始めたのは、 21世紀に入ってからのことなので、Notesの市場投入は非常に早い時期であったことがわかります。1995年にはIBMがロータスデベロップメント社を買収することとなり、Notesのブランド価値が急速に向上、大企業を中心に導入が進められました。

2.Notesの現状

                        しかし、Notesを現在販売しているHCL社は、一番ユーザーが多いとされているNotesのバージョン(v9.0.xおよびv10.0.x)が2024年6月1日サポート終了となることを発表しました。サポート終了に伴い、移行先を検討している企業様も少なくはありません。
                        移行を検討されている場合、情報資産の棚卸を行い、社内にどんな資産があるのかを把握・整理する必要があります。何を移行し、何を移行しないのか、慎重に選択し、それらが移行可能かどうかを事前に調査した上で、適切な移行計画を立てることがNotes移行の重要なポイントです。しかし、Notes移行には、移行計画以外にも、移行先の選定・移行プロジェクトの実行・エンドユーザーへの教育など様々なハードルが存在します。ハードルを乗り越え、プロジェクトを成功させるにはどういった工夫や取り組みが必要か、次章では実際にNotes移行を成功させた企業の事例をご紹介します。

営業活動終了/サポート終了の製品バージョン

HCLsoftware社プレス_Notesサポート終了バージョン.jpg
 出典:HCLSoftware社発表 HCL Notes/Domino v9.0.x および v10.0.x の営業活動終了 (2022年12月1日) とサポート終了 (2024年6月1日) について

3.Notes移行の成功事例

本章では、Notes移行の成功事例として、Notesからワークスアプリケーションズ社製のグループウェア「ArielAirOne」への移行に成功したグンゼ株式会社様とケイミュー株式会社様の事例を紹介します。あえて長期間での移行プロジェクトを選択したグンゼ様と、短期で移行を実現させたケイミュー様。それぞれのプロジェクトでの工夫や実現できたことから、Notes移行成功の秘訣を探ります。
※本章は、2021年5月25日に配信されたWorksWay2021「事例から学ぶNotes移行成功の秘訣!」の内容を再構成したものになります。

グンゼ株式会社様の事例紹介

◆Notes移行検討のきっかけ

明治29年に創業し、アパレル事業や機能ソリューション、ライフクリエイト事業を主に手掛けるグンゼ株式会社様。
20年もの間、メール・ワークフロー・文書管理の範囲でNotesを利用してきましたが、Notesのシェアが落ちており、将来性に乏しいのではという意見があがったこと、また、社内からのヒアリングでワークスタイルの変革の要望が多かったものの、Notesで対応しきれない、ということなどをきっかけとして、Notes移行の検討を始められました。

◆Notes運用にあたり抱えていた課題と改善すべきこと

グンゼ様では、Notesをメール、ワークフロー、文書管理の範囲で利用されていましたが、利用する中で、特に問題視されていた課題は下記3点です。

1.Notesは社外からのリモートツールで社内網に接続する必要があるが、通信料が多い仕組みなので、海外等からは遅くて使えない。
2.スマートフォン・タブレットからの利用ができない。
3.得意先との大容量のデータ交換ができず、7M以上のファイルを送信できない。

検討プロジェクトでは、Notes移行によるグループウェア刷新で、どういったことを改善するべきか、上記現行課題やユーザーへのヒアリングをもとに、表をまとめ、検討をスタートさせました。
まずは、Notesの移行先となるグループウェア製品の検討に着手しましたが、製品の比較検討にあたり、グンゼ様で重視したのは「コア技術強化」「業務効率向上」「情報活用向上」に向けた機能とコストの観点です。Notesの利用範囲となっていた、メール、ワークフロー、文書管理の領域において、クラウド上で、かつセキュリティも担保した機能が搭載されている製品が必要ということで、ワークスアプリケーションズ社製のArielAirOneを柱とする製品群で決定しました。
製品決定後は、利便性を考慮しつつ、セキュリティも担保する構成を決定し、パソコンやスマートデバイスでの利用方法についても決定しました。

◆プロジェクト運営のポイント

製品の選定・社内稟議を経て、導入プロジェクトが開始されましたが、グンゼ様ではNotesの利用ボリュームと導入にかけられるリソースを考慮し、4年間かけて段階的に移行することを決定しました。まず、実現したいこと・要求をポストイットで洗い出し、優先度を整理。優先度の高いものは、1年目に移行し、それ以外についてはその後段階的に移行するという方針でマスタースケジュールを作成しました。
4年計画のポイントとなったのは、旧システム(Notes)と新システム(ArielAirOne)の併用です。エンドユーザーの利便性が損なわれないよう、旧システムのデータと新システムのデータをうまく連携できることを事前に検討し、計画を進めました。

グンゼ様ワークス講演資料_プロジェクトマスタスケジュール.jpg

◆要件定義

さらに要求をシーンごとに深堀し、優先度や対応方法を検討、ID管理やメールなど各業務範囲毎に要件を固めました。クラウド設計にあたっては、パソコン・スマートフォンそれぞれの利用に応じたセキュリティを考慮し、矛盾がないように設計、実開発の工程では、不具合も発生しましたが、都度なにが問題なのか、優先度、誰がいつまでに解決するのかを明確にしたうえで、品質と納期の管理を行いました。

◆新システムの普及のポイント

短期間で大人数に普及させるには、マニュアルを充実させることが一番重要と考えました。具体的には、マニュアル作成計画をたてて、シーンごとに細かいマニュアルを作成する、全体を網羅したダイジェストページ版をパソコン・スマートフォンそれぞれ作成する、など数でいうと500ページ近くになったが、ここを重点化しました。普及活動にあたっては、全国で1回2時間程度の説明会を実施し、マニュアルをベースに説明、マニュアルに力を入れたこともあり、混乱なく利用を開始することができました。

◆Arielへの移行で実現できたこと

効果は大きく2点です。1点目は不要なDBを集約し、保守性・利便性を高められたことです。Notes利用時は、もともと1300DBありましたが、移行プロジェクトを始める前に、約800と4割弱を減らしてスタートしました。また、4か年をかけた移行の中で、さらに不要なものを廃止し、設計も統一したため、結果的に1/3の466DBとなりました。
2点目は、Notes利用時の課題を解決できたことです。例えば、タブレットやスマートフォン利用により、ワークスタイルの変革が実現できたことや、情報の検索性や共有性があがり、情報の利活用が進むようになりました。また、ワークスアプリケーションズのクラウドサービスを利用することで、運用面の煩わしさから解放されたことも大きな利点でした。結果として、コロナ禍で激変する環境にも迅速に対応することができました。

グンゼ様ワークス講演資料_Arielで実現できたこと.jpg

ケイミュー株式会社様の事例紹介

◆Notes移行検討のきっかけ

ケイミュー株式会社様は2003年12月にクボタと松下電工(現パナソニック)の住宅外装部門が事業統合し発足。「屋根材」「外壁材」「雨とい」などをトータルに提案する日本唯一の外装建材メーカーです。Notesは、パナソニックグループのシステムとして、メール、ポータル(掲示板)、ワークフローの範囲を主に利用されていましたが、グループとしてNotes廃止の方向性が決定しました。この決定がNotes移行検討開始の最大要因ではありましたが、当時のポータルが多少貧弱であったこと、また「ワークフローや掲示板の作成・編集が難しい」などNotesへの不満もあったことから、社内ポータルを含むグループウェアの再構築、Notes移行プロジェクトをスタートされました。

◆Notes移行先の検討とポイント

ケイミュー様では、移行先のグループウェアシステムとして5製品を比較・検討し、「ArielAirOne」を選択されました。比較・検討にあたって、考慮されたポイントは下記5つです。
1.Notes移行のツールがあり、「短期間」で移行が可能なこと
2.コスト
3.自前で幅広い部分(ポータル・ワークフロー・グループ管理)の構築・メンテナンスができること
4.人事システムから組織・人の情報の連携ができること
5.スマートフォンの活用ができること

◆導入プロジェクトの工夫とポイント

導入プロジェクトは、プロジェクトマネージャー(PM)1名、非専任メンバー3名の実質4名でプロジェクトを進めました。短期導入にこだわり、特に実質の構築は約7カ月で完了、ポイントはタイムマネジメントでした。 タイムマネジメントのポイントは4つです。

1.ゴールから逆算してスケジュールを設定し、デッドラインを管理する。また、管理自体に時間を使わないよう、「カットオーバーチェック」を月単位で簡単に記載する。
2.決断を早く。PMが全権を持ち、素早く判断する。
3.構築フェーズに入ったらぶれない。検討フェーズで徹底的に議論し、決めるという前提で、構築フェーズでは後戻りなく進めるルールとする。
4.Notesではなく新システムAriel流へのフィッティングとする。

4番目のポイントが、特に重要なポイントだと考えました。ユーザーは「Notesではこれができた、あれができた」というリクエストを挙げますが、そうではなく、新システムでの100点を目指す、ということをメンバーの共通認識として進めました。例えば、Notesでは、もともと100種類の多種多様な掲示板がありましたが、Arielでは2種類のフォーマットに統一し、権限も掲示板単位で設定するなどシンプルなルールとしました。また、Notesには膨大な過去データが蓄積されていましたが、移行するデータ・しないデータを整理し、はっきりさせました。掲示板以外の過去データは一切もっていかない、掲示板のデータもArielのみに残して閲覧する、ということを徹底しました。

収録用ケイミュー様【WW2021】カットオーバーデッドラインチェックリスト.jpg

また、進め方で工夫した点は、システム・業務範囲別に開始をわけたことです。まずはスケジュールと施設予約。その次にメール。メールは移行時の問い合わせなどその対応に時間がかかるので、部署ごとに2か月かけて移行しました。次の掲示板は、掲示板単位で2週間かけて移行、最後にワークフローは並行稼働で移行を実施しました。これは、Notesで既に申請をあげているものに関してはNotesで完結させるなど、エンドユーザーに不便をかけない配慮で、混乱なく利用を開始することができました。エンドユーザーへの普及面で工夫した点としては、テレビ会議を活用し、全員研修を行いました。
また、各部署単位でArielキーマンを設定し、質問を集めてもらう質問用グループメールを利用してもらうなどの工夫を行いました。また、IT部門で先行した際に出たQA集も準備しました。エンドユーザーが進んでQA集を見てくれることは少なくとも、問い合わせを受けた際、メンバーが同じ回答をできるという点においての利点は大きく、活用されました。

◆Notes→Arielへの移行で実現できたこと

なによりよかったのは、「業務の標準化・効率化」が実現できたことです。例えば、ポータルについては「全員が情報に到達できる」ことを目指してデザインしました。Notes時代はなんでもメールする、という文化でしたが、ポータルで「未読のお知らせがわかるようにする」「どこに何の情報があるか一目でわかるようにする」など情報取得のスピードが速くなりました。
また、掲示板では100種類の掲示板を作成しましたが、登録した掲示板が更新されると通知が送られる「伝言通知機能」を利用するなど、便利な機能の活用により、利便性が高まりました。ワークフローでは、管理者の効率化も大きく進みました。Notesでは、承認フローやユーザーグループについてワークフローごとのメンテナンスが必要でしたが、Arielでは統一した承認フロー・ユーザーグループを管理することができ、異動時などのメンテナンスが大きく軽減されました。

収録用ケイミュー様【WW2021】Arielで実現できたこと.jpg


4.Notesの移行先は?必要な機能を網羅したシステムのご紹介

最後に、Notesの移行先として親和性の高いシステム「ArielAirOne」をご紹介します。ArielAirOneのユーザーは、Notesからの移行ユーザーが5割を占めており、ワークスアプリケーションズは多くのNotes移行プロジェクトを経験、ノウハウを保持しています。
ArielAirOneは、大きくグループウェアの「ArielAirOne Portal」、ワークフロー・開発ツールの「ArielAirOne Framework」から構成されており、利用範囲に応じてライセンスを選択し利用することが可能です。また、独自のNotes移行ツール「ArielAirOne Transfer for Notes」も保持しており、管理者・エンドユーザーのNotes移行負担を大きく軽減することができます。

グループウェア「ArielAirOne Portal」

「ArielAirOne Portal」は、情報共有に必要とされるスケジュール、掲示板、ファイル管理、アプリケーションをポートレット形式(小さなウインドウ)で表示させるポータル機能など、業務に必要な一般的な機能はあらかじめ搭載されており、企業・組織・個人単位でワークスタイルに合わせた柔軟な設定が可能で、Notesで利用していたグループウェア機能はArielAirOne Portalへ移行可能です。

特徴1.スケジューラーや情報共有ポータルなどの主要な機能で多彩な設定ができ、企業文化に応じた情報共有を促進
特徴2.
柔軟なアクセス権限設定で情報漏洩などを防止し、内部統制の強化に寄与
特徴3.情報・ノウハウの共有・業務効率化をさらに推進する簡易業務アプリケーション・ワークフローへの拡張性

詳細は「グループウェア ArielAirOne Portal」製品ページをご覧ください。

ワークフロー・開発ツール「ArielAirOne Framework」

Notes移行で特にハードルとなるのが、企業独自で構築された申請や承認のワークフローの移行です。「ArielAirOne Framework」はNotesで構築されたワークフローやデータベース(カスタムアプリ)のフォームやビューなど標準的な設計要素の代替え構築が可能です。
また、ArielAirOne FrameworkはGUIベースのローコード開発で、企業独自の複雑なワークフローもプログラミング知識不要で素早く構築化可能なため、継続的改善をスピーディーに行うアジャイル型開発に向いており、現場の要求を柔軟に取り入れたワークフロー構築も可能です。

特徴1.プログラミング知識が必要のない画面開発ツールによるアプリケーション開発が可能
特徴2.日本企業特有の複雑なワークフローにも柔軟に対応が可能
特徴3.移行ツールの利用により効率的なNotes移行を実現

詳細は「ワークフロー・開発ツール ArielAirOne Framework」製品ページをご覧ください。

Notes移行ツール「ArielAirOne Transfer for Notes」

Notes移行を効率的に実現するツール「ArielAirOne Transfer for Notes」は、Notes独自のLotusScriptコードをJavaScriptコードに書き直すことで、他社製品で移行困難なNotesアプリの移行も可能にします。
フォームやビューなどの自動変換機能を持っており、設計移行の工数を大幅に削減可能です。また、データ移行ツールも含まれており、リッチテキストデータ内の表や画像、添付ファイル、文書リンクまでも移行可能です。

詳細は、「”こだわり”が詰まったNotes資産を活かす、業務開発プラットフォーム ArielAirOne」特設ページをご覧ください。

”こだわり”が詰まったNotes資産を活かす、業務開発プラットフォーム ArielAirOne

現在、Notes移行にあたってのDB解析や移行コスト・スケジュールを算出する「脱Notes支援特別パック」を提供しています。
詳細は、特設ページより確認することができますので、ぜひご活用ください。

ArielNote移行LPバナー.png

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