【インボイス】取引先の登録番号を効率的に集める「名寄せサービス」とは?
目次
2023年10月からインボイス制度が開始されます。
各企業がインボイス制度に向けて準備を進める一方で、インボイス制度下の運用で必須となる「取引先の事業者登録番号(適格請求書発行事業者の登録番号)」の収集は多くの企業でなかなか進んでいないといわれています。
なぜ、多くの企業で事業者登録番号の収集がなかなか進まないのでしょうか?
本記事では、事業者登録番号の収集時に生じる課題と、効率的に集める方法について解説します。
インボイス制度の開始に伴い必須になる事業者登録番号
2023年10月1日に開始されるインボイス制度に向けて取引のある仕入先の事業者登録番号の収集が必須になります。
事業者登録番号とは、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、税務署の登録を受けた場合に事業者に通知・付与される番号です。
事業者登録番号は、いわば、適格請求書発行事業者に登録されていることを証明するものといえます。
事業者番号がないと、仕入税額控除が受けられない?
これまでは事業者登録番号なしでも、仕入れの事実が記載された請求書と帳簿を保存すれば、仕入税額控除の適用を受けることができました。
しかし、インボイス制度開始後には、上述したように事前に税務署より承認された適格請求書発行事業者のみが発行できる「適格請求書」による取引でなければ仕入税額控除の適用を受けることができなくなります。
そのため、現在多くの企業の経理部が、インボイス制度開始に向けて準備と事業者登録番号の収集に追われている状況です。
実際に、インボイス制度開始に向けて、取引先の事業者登録番号の取集状況について弊社がアンケート調査を実施した結果、98.6%の企業が未完了と回答しています。
多くの企業が、取引先の事業者の収集に難航していることが、見受けられます。
また、取引先の事業者登録番号の収集状況について、「取引先の適格請求書発行事業者登録番号の収集が完了している」と回答した企業は全体の1.4%に留まっており、「取引先の適格請求書発行事業者登録番号の収集方法を検討している」が72.9%、「取引先の適格請求書発行事業者登録番号の収集を開始している」が18.6%という回答結果になっています。
取引先の適格請求書発行事業者の登録番号の収集が進んでいない要因は、収集方法を検討している企業がいるほかに、インボイス登録事業者(適格事業者)の登録申込の締め切り前の現段階では、適格請求書発行事業者の登録を済ませていない企業が多いことから、収集を後回しにしているといった点も挙げられます。
様々な業種・業態の企業を対象に、独自にアンケート調査を行い、システム対応の進捗や取引先への対応方針など、各社の対応実態についてまとめました。
事業者登録番号のよくある収集方法3パターン
インボイス制度開始に伴い必要となる適格請求書発行事業者の登録番号ですが、どのように収集するのでしょうか。
事業者登録番号の集め方は、何通りかあります。
ここからは、よくある、事業者登録番号を集める方法と、メリット・デメリットについてご紹介します。
・1. 取引先へ直接確認する
・2. 国税庁のサイトから検索・確認する
・3. 国税庁のサイトから公表データをダウンロード・照合する
仕入先へ、直接、メールや電話で適格請求書発行事業者の登録有無と登録番号を確認する方法です。
メリット:文書を作成し、自社の事業者登録番号の通知と合わせて、取引先への確認依頼と事業者登録番号を尋ねることで確認が可能です。
デメリット:取引先が多い大手企業などの場合、個社ごとに、メールや電話で事業者登録番号を尋ねるとなると多くの時間を費やすといわれています。
国税庁のホームページに公表されている事業者登録番号を一件ずつ検索し集める方法です。
メリット:取引のある仕入先へ直接メールや電話でインボイス制度の登録状況や適格請求書発行事業者の登録番号を尋ねることなく、自社で国税庁のサイトから事業者登録番号を確認できます。
デメリット:取引先が多い大手企業は数万件に及ぶ仕入先データを国税庁のサイトから一件ずつ検索し確認する必要があり、かなりの時間を要するといわれています。
国税庁が公開する適格請求書発行事業者の登録番号のデータをダウンロードし、関数などを用いて自社の取引先データと照合し登録番号を集める方法です。
また、国税庁が公表している適格請求書発行事業者公表システムWeb-API機能を使用して、事業者登録番号を収集する方法もあります。
メリット:上記同様に仕入先へ連絡することなく事業者登録番号を確認できます。
また、取引先の多い企業は、一件ずつ検索・確認する確認方法に比べて、簡単に収集することができます。
デメリット:取引先データの件数が多い企業は仕入先データの更新や表記違いの修正など、照合するまでに時間がかかります。
特に課題とされるのが、取引先の企業名や住所の表記違いです。
一件ずつ取引先のデータを確認し更新していく作業はかなりの工数を費やすといわれています。
また、国税庁が公表しているAPIを、使用する場合、非エンジニアの方や、普段システムの運用をされない方がAPI連携をするとなると、自社システムとの連携が難しく使いこなせないといった課題があります。
ここまで、適格請求書発行事業者の登録番号のよくある集め方3パターンを、ご紹介しました。
しかし、多くの仕入先と取引のある大手企業は、上記の方法で、事業者登録番号を集めるには、多くの工数を費やすでしょう。
大手企業が事業者登録番号を効率的に集めるための「名寄せサービス」
上記で、紹介した3パターンは、取引先が多い大手企業は、社名などの表記違いなどがある場合、一件ずつ確認し照合する作業が発生する可能性があり、非現実的な方法です。
上記の方法以外で、仕入先と多くの取引がある大手企業が効率的に事業者登録番号を収集する方法はないのでしょうか。
ここからは、上記の集め方以外に、効率的に事業者登録番号を集める方法についてご紹介します。
事業者登録番号を自動で付与する名寄せサービス
適格請求書発行事業者の登録番号を効率的に集める方法として、おすすめなのが、「名寄せサービス」を利用して収集する方法です。
「名寄せサービス」とは、各企業が保有する仕入先に対して国税庁が発行する適格事業者の登録番号を自動で付与できるサービスです。
自社の仕入先リストを名寄せサービスへインポートすることで、国税庁に登録されている適格請求書発行事業者の登録番号が自動で付与されリスト化されます。
「名寄せサービス」利用のメリットとは?
自動で適格請求書発行事業者の登録番号を付与できる名寄せサービスを利用することにより、仕入先と多くの取引のある企業は、手動での作業に比べて作業時間を大幅に削減できます。
仕入先リストをシステムへインポートした際に自動で事業者登録番号が付与され、事業者登録番号の登録がない場合のみ、手動作業が発生するので、一件ずつ確認する必要はありません。
失敗しない名寄せサービスの選定・比較ポイント4選
今後、インボイス制度の開始に向けて適格請求書発行事業者の登録番号を簡単に付与できる「名寄せサービス」が複数のベンダーからリリースされることが想定されます。
導入の検討にあたって、紹介サイトや資料のみでは、どの製品が自社に最適なのか分からず選べないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは名寄せサービスを実際に導入する際に押さえておきたい選定のポイントをご紹介します。
・1. データマッチング精度
・2. サービス導入前の事前評価制度の有無
・3. 料金体系
・4. 入力フォーマットの柔軟性
1. データマッチング精度
名寄せサービスを使用し適格請求書発行事業者の登録番号を付与する際に重要なのがデータの照合精度です。
事業者登録番号を確認する際に課題とされるのが、上述したように、社内で保持している取引先データの社名や住所の表記違いです。
表記違いを内部的に補正し高精度で照合できる名寄せサービスを選定することをおすすめします。
2.サービス導入前の事前評価制度の有無
上記で、ご紹介したデータ照合精度について実際にサービスを使用してみなければ、どれほどの照合ができるのか分からないのが事実です。
データ照合の精度はお客様のデータ状況に応じて異なるため、実際のデータ照合精度を分からないまま購入してしまうと、導入後に期待していた費用対効果が得られなかったといったこともありえます。
導入前後でのギャップが生じないよう、サービス導入前に自社で保持しているリストがどれほど一致するのか確認できる事前評価制度がある名寄せサービスを、導入検討することが望ましいです。
3.料金体形
名寄せサービスの価格はベンダーごとに料金体系が異なります。
価格面で押さえておきたいポイントは、機能やデータ容量により従量課金が発生しないかです。
利用したいと思っていた機能は、実は別途オプション料金が発生するといったこともあり得るので、標準価格内で全機能が利用できるか否かについて、事前に確認しておくことをおすすめします。
また、グループ会社が多い企業に特におすすめしたいのが、契約した1ライセンスで自社の適格請求書発行事業者の登録番号の付与のみならず、グループ会社全体で利用できる名寄せサービスの選定です。
4.入力フォーマットの柔軟性
名寄せサービスを利用し、実際に自社のリストと照合する際に、入力フォーマットの指定があるか事前に確認しておくことをおすすめします。
各企業ごとに取引先を管理するシステムが異なるため、出力されるフォーマットも異なります。
入力フォーマットの指定がある名寄せサービスの場合、自社システムから取引先リストを出力後、行や列の修正・更新を加える必要があり煩雑になりがちです。
名寄せサービス選定時には、指定の入力フォーマットがある名寄せサービスではなく、様々なフォーマットに対応できる名寄せサービスを導入することをおすすめします。
ここまでインボイス制度開始に伴い課題となる仕入先の適格請求書発行事業者の登録番号を効率的に集める方法についてご紹介しました。
名寄せサービスを活用し適格請求書発行事業者の登録番号を効率的に集め、インボイス制度開始に備えることをおすすめします。
作業時間を1/10に短縮できるHUEインボイス名寄せのご紹介
弊社ワークスアプリケーションズでは、適格請求書発行事業者の登録番号を簡単に付与できる名寄せサービス・HUEインボイス名寄せをご提供しています。HUEインボイス名寄せは、取引先の適格事業者の登録番号の照合に利用される「Sudachi(スダチ)」の技術により社名などの表記がぴったり合わなくても表記揺れを内部的に補正するため、高精度の照合を実現でき手作業での照合に比べて作業時間を1/10に短縮できます(当社比)。
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