チャットボット運用失敗の原因とは?よくある事例から学ぶ成功への道
問い合わせ業務の効率化に効果が高いといわれるチャットボット。しかし、導入してみたが利用率が上がらない、顧客満足度の向上が見られないというケースもあるようです。運用の再検討を図るなかで重要なのが、失敗の原因を知ることです。失敗に至る要因を正しく把握し解決方法を見つけておかなければ、今後もチャットボットを事業に生かすことはできません。ここではチャットボットを使う現場ごとの失敗事例を踏まえながら、原因の分析と解決策を探っていきます。
目次
そもそもチャットボットの失敗とは?
チャットボット運用を失敗と感じるシーンについて考えてみましょう。
チャットボット導入後に起こりがちなのが、使ってもらえないという問題です。苦労して導入したのにユーザーが増えない。リリース後には物珍しさからある程度の利用が見られたが、一定期間を過ぎると利用が減少してしまったというケースは少なくありません。
チャットボットが提示する回答が不的確であるのも、深刻な問題です。ユーザーの問題解決がなされない。回答に行きつくのに時間がかかりすぎる。質問に対する回答が不一致。こうした状態では、利用されなくなっても仕方がありません。
期待していたほど業務効率に寄与しなかった、という失敗も考えられます。有人対応への問い合わせ件数が減らない。運用に関するトラブルが多すぎて、費用対効果が得られていない。正答率が低く使い物にならないどころか、苦情が発生してまってはまさに本末転倒です。
これらは、ビジネスにおけるチャットボット運用ではあってはならない問題です。次章からは具体的なシーン別での失敗事例と、その解決法について解説していきます。
コールセンターにおける失敗事例と解決法
入電が減らず効果が見られない
運用がうまくいきさえすれば、コールセンターでのチャットボット導入は大きな効果を生み出します。しかし単純な問い合わせが多いという理由からチャットボットを導入したが、入電数が減らないという悩みを抱えてしまうケースもあります。最も考えられる原因は、顧客層の読み違いです。ターゲットの多くがネットに不慣れなシニア層である場合、チャットボットの操作や入力に戸惑うためです。また、サイト内に埋め込まれているチャットボットに対する視認性が低い可能性もあります。その場合は認知度拡大への働きかけが不足しているかもしれません。
改善に向けた取り組み
チャットボットの利用率を上げるためには、シニア層にも分かりやすい画面表示、入力支援の充実といったオンライン上の施策を考える必要があります。ユーザーの動線に合わせ、視覚的に分かりやすいレイアウトに改善することが大切です。またチャットボットについての告知を徹底し、コールセンターよりもスピーディーに解決できるメリットを強調していくとよいでしょう。
オンラインショップにおける失敗事例と解決法
解決率が上がらない
メーカーのオンラインショップでメール・入電の削減を目的にチャットボットを導入した例で、利用率は高くなり問い合わせも減少したが、解決率や顧客満足度が向上しないという問題が発生したそうです。
こうした場合、回答の精度はまずまず良好であっても、説明が長文で分かりづらいといったことが考えられます。もともと文章では伝えきれない内容が多い案件では、正しい回答であってもユーザーに伝わりにくい可能性があります。
改善に向けた取り組み
まずは既存FAQを見直し、改善の余地があればよりシンプルな文章や表現に変更します。チャットボットでうまく回答ができていない場合には、分岐を作り、FAQを追加します。テキストだけでは分かりにくい場合には、図説や写真のある画像ページへの誘導も必要です。回答が多義に渡る場合には、シナリオやカテゴリ分けを行い、より正答率を高めるための工夫が必要になります。
社内ポータルにおける失敗事例と解決法
経営層と現場の考えに溝があった
企業でありがちなのが、経営層と現場の運用担当者の間でのAIチャットボットに対するイメージの不一致です。年代の高い経営層には、AIチャットボットが万能的であると思い込む人もいるようです。しかし、実情を知る運用担当者は一定領域での運用を考えているため、食い違いが起こります。
経営層の期待に応えようとするとあらゆるFAQのデータ化が必要ですが、ボリュームの増えすぎや作業不足で回答精度が低くなる恐れがあります。結果として、実用的な運用ができず完成されずに頓挫する可能性もあります。
改善に向けた取り組み
全社的なAIチャットボットの理解促進が求められます。共通認識を得たあと、実用的運用に向けたゴールの明確化を行います。チャットボットが担当する業務範囲の決定、優先度の高い「よくある質問」の洗い出しなどが必要です。加えてチャットボット側が表示する初期シナリオや、メニューの見直しもゴール設定に即して行っていきます。
ヘルプデスク/情シスにおける失敗事例と解決法
回答精度の低さから社員の苦情が
専門用語や略語の辞書登録が十分でない場合、質問が通らないという事態が発生します。「分からないから」聞いているのに、質問自体を理解してもらえない状態です。スピーディーな解決に至らないためユーザーの不満が募る結果となります。
辞書への追加登録が容易でない、チューニングが難しい、表記揺れに対応しきれないといったチャットボット側の問題が考えられます。
改善に向けた取り組み
言語処理能力に優れたチャットボット、丁寧なチューニングを行う事業者の選び直しが必要です。「辞書への追加登録が容易なサービス」「社内でPDCAサイクルが回しやすい仕様」といった観点を選定条件に加え、自社の必要とする能力に対応できるチャットボットに変更を検討します。
バックオフィスにおける失敗事例と解決法
必要書類の詳細が分からない
社員に向けた各種手続き案内のシステムをチャットボットで構築したが、肝心の部分が分からず不評の声が上がるケースがあります。社員の間で話が広まると、チャットボットで調べずに担当者に問い合わせる率が高くなってしまうでしょう。
例えば、手続きの必要書類名しか教えてくれないため、具体的な入手先や書き方など詳細が不明。いくら回答を探そうとしても、質問分岐からまた最初に戻ってしまう。質問工数の割に得る情報が少ない…などの問題が挙げられます。
改善に向けた取り組み
過去の質問ログデータから質問の多いものを優先し、逆算しながら分岐を設計し直します。説明が分かりにくい場合にはPDFを開けるようにして、視覚的な確認もできるように工夫するとよいでしょう。社員から随時意見を収集し、具体的な改善箇所を明らかにしながら修正を加えていきます。
シナリオ型チャットボットで回答精度が低い場合は、AI搭載型への変更を検討します。聞き返しや回答を絞り込んでの提示等ができるので、あまり階層を増やさず、深くしない分岐設計を実現することが可能です。「質問工数の割に得る情報が少ない」といった不満が多く上がるようであれば、改善に結びつきます。
Webマーケティング(接客)における失敗事例と解決法
顧客満足度につながらないチャットボットの対応力
ホテル・レストラン・旅行などの予約対応をするチャットボットを導入したが、ユーザーの質問意図を適切に理解できない事例も見られます。また、チャットボットが返答に詰まった際にスムーズに有人対応へと誘導されない場合、顧客満足度の低下を招きます。会話が進まないとユーザーの潜在ニーズが読み切れず、適切な提案につながりません。
改善に向けた取り組み
シナリオ型チャットボットでは提案へと結びつける高度な対応が難しいため、AI型チャットボットへの変更を検討します。AIの学習精度を向上させていけば、適切な提案へと進めるように改善されます。
チャットボットの再導入に当たっては、特に自然言語処理能力の高いサービスを選ぶようにするのがおすすめです。また有人対応との連携体制を整備し、顧客満足度向上への取り組みを強化していきます。
失敗事例は成功策の宝庫
チャットボットは、企業が抱えるさまざまな課題を解決する有望な技術です。しかし現時点では、決して万能というわけではありません。有人対応と同じレベルを求めるのではなく、どのようにしたらチャットボットにおける最善を尽くせるのかを考えることが大切です。運用に不満がある場合は、失敗原因を特定してひとつずつ改善策を講じていきます。仮に、現状のチャットボットでは改善させるのが難しいときは、目的に合ったチャットボットへの移行も検討してチャットボット運用を成功に導きましょう。
チャットボットの導入において課題が解決しない、顧客満足度の向上が見られない、といった失敗は避けたいものです。本記事でご紹介したように失敗要因は複数あります。事前にそれらを知って失敗を回避するのが理想ですが、運用しながらの改善や状況の変化に応じた対応を前提にしたチャットボットを選ぶことも重要でしょう。「HUE Chatbot」は管理画面の操作性が高く、PDCAサイクルを回しやすい特徴があります。課題に対して改善しやすいともいえる「HUE Chatbot」。ご紹介資料もございますので、ぜひご覧ください。
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